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進めば進むほど◇13.10.23 ページ48




みんなでSkype通話をした、
その日の夜中。

私は、部屋の扉の外から聞こえる物音で
目が覚めた。
時計を見ると、12時ちょうど。


嫌な予感がした。
私は二段ベッドの上に登って、碧海を揺さぶって起こした。

目をこする碧海が、体を起こして、
あくびをして、
どうしたの?って小声で言う。

私は何も言わずに、階段を降りた。
扉を開けて、足音を立てないように静かに、
明かりのついている、下の階への階段に近づいた。
碧海は私の後ろをついてきた。


階段を、少しだけ降りると、
母さんの声が聞こえた。
誰かと電話しているみたいだった。

碧海と顔を見合わせた。
碧海は頷いて、その場にしゃがんだ。
私も隣にしゃがんで、
その声を必死に聞き取った。


お母さんの声しか聞こえないけど、
通話の相手はにーちゃんだと、すぐに分かった。

「…やっぱり本気で、そう思うの?」

「……うん。私も、にーちゃん自身の思いを尊重したいって、思うけど………
でも、あんまり……賛成しようとは、思えないの。
メンバーみたいに、あなたの考えを受け入れることは、できない」


「この間の公演で、親御さんともお話させて頂いて……にーちゃん本人もわかってると思うけど、お二人はにーちゃんの決断に、反対してる」


「にーちゃんは、ただのフリーターじゃないでしょ……こんなこと言うのもアレだけど、私があなたの母親でも…安心してこの組織に、大事な息子一人、預けることなんてできない」


会話のするお母さんの表情も、
電話の向こうのにーちゃんの表情も、
何でだろう、手に取るように、わかる。


鼻をすする音が聞こえた。
隣を見ると、碧海は涙目だった。


あっすーの笑顔が思い浮かぶ。
あれから、むすめん。とあっすーは不仲になったわけでもなんでもないけど、
あっすーは明らかに、東京に出てくる回数が減った。
イベントに出ることも、少なくなった。
もうしばらく、会えてない。


「あなたは、むすめんを選ぶべきじゃないと思う」


その声が聞こえた。
その時私は立ち上がって、碧海の手を引いて、
階段を上り、部屋に戻った。

部屋の扉を静かに閉じると、
碧海はゆっくりベットに上って、
ごろん、と横になった。
私も同じようにした。


にーちゃんが、
あっすーみたいにどこか行っちゃうの、嫌だ。


そんな、涙ぐんだ声が、
微かに上から聞こえた。


私も、同じだ。
進めば進むほど、誰かが傷付いて、
どこか行っちゃうなんて、嫌だ。


心の中がぐちゃぐちゃにかき混ぜられたような感覚になったまま、
私は目を閉じた。
目頭が熱かった。

あんなに好きで◆13.11.26→←ほんとにほんとに◆13.10.23



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ひな(プロフ) - ご指摘ありがとうございます!!申し訳ありません、うっかり忘れてました…(_ _)更新頑張ります、よろしくお願いします…! (2018年10月7日 19時) (レス) id: 81ab03c3d0 (このIDを非表示/違反報告)
- 楽しみにしてます!これからも更新頑張ってください〜!あ、あと(人1)の変換ないので作るか全て(名前)に統一して下さるとありがたいです! (2018年10月7日 16時) (レス) id: aa9580c9fd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ひな | 作成日時:2018年10月6日 5時

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