脅迫されてて◇13.03.20 ページ10
*
……えーと。
胡散臭そうな人じゃないけど、
私の全然知らない人ではある。
体が硬直してる、私の顔を、その人は覗き込んだ。
「あ、怪しいものではなくて。ボク、いくつ?」
「…14です…」
「あのさ、こういうのに興味ない?」
その人がクラッチバッグから取り出した、何かのファイル。
パラパラとめくって、何か説明されるけど、全然内容が頭に入って来ない。
何これ。スカウト、ってやつ…?
名刺を差し出された。
「親御さんと話し合って、興味あったらここに電話をかけてね」
「…え…あ…いや…」
ただ首を横に振って拒否。
受け取るだけでもいいから、って、
しつこい…
「Aちゃん!」
その声が聞こえて、
こっちに向かってきた人に、飛びつく。
救世主だ!
「えと…何これ、どういう状況…?」
「何か襲われてるから走ってきたはいいけど」
ぷんちゃんの後ろに隠れる。
のっくんが私の隣で屈み、小さい声で言う。
「ええと…お兄さんですか?」
男の人は、ぷんちゃんを見る。
ぷんちゃんが私を見る。アイコンタクト。
「そ、そうです!兄です」
「丁度良かったです、今妹さんに、芸能事務所の案内を」
あぁ、また長い話が始まる。
ぷんちゃんの背中の後ろで、手を伸ばし、
反対側にいたぜっちゃんの服を引っ張る。
こっちを見るぜっちゃん。
必死に首を横に振ると、ぜっちゃんは少し苦笑して、頷いた。
「あのー、そういうの大丈夫です」
ぜっちゃんは一歩前に出て、言った。
「いや、連絡先だけでも」
「ほんとに、迷惑なんで。な」
ぷんちゃんがウンウンと頷く。ついでにのっくんも。
「妹さんに興味があればでいいので」
男の人は、私の顔を見た。
私は俯いて、ただ首を横に振る。
「じゃあ、そういうことなんで。失礼しますね」
ぜっちゃんがスタスタ歩いていくのに続いて、
ぷんちゃんが私の手を引っ張って、歩き出す。
のっくんが後ろから、パタパタと付いてくる。
「ああいうのはめちゃめちゃしぶといんやから、強気で断らんとあかんで」
「ぜっちゃん、ありがとう…」
かっこよかったで、ヒュー!ってのっくん。
いつの間にかしがみつくように握ってた、ぷんちゃんの手を離す。
「びっくりしたで、どこにいるかなって探してたら、知らん人に脅迫されててんから」
ぷんちゃんは笑ってそう言いながら、私の手をもう一度握った。
「脅迫って…ああいうの初めてだから、びっくりして」
「でも、断ってよかったん?」
「あの人、私のこと男の子だと思ってたんだよ?」
のっくんに振り向いてそう言うと、
三人ともあはは!って笑い出した。
土曜にまた◆13.02.20→←それだけだよ◆13.03.20
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ひな(プロフ) - ご指摘ありがとうございます!!申し訳ありません、うっかり忘れてました…(_ _)更新頑張ります、よろしくお願いします…! (2018年10月7日 19時) (レス) id: 81ab03c3d0 (このIDを非表示/違反報告)
葵 - 楽しみにしてます!これからも更新頑張ってください〜!あ、あと(人1)の変換ないので作るか全て(名前)に統一して下さるとありがたいです! (2018年10月7日 16時) (レス) id: aa9580c9fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひな | 作成日時:2018年10月6日 5時