頼もしい人◆13.02.02 ページ1
*
「少し長引いたみたいだけど、大丈夫だった?」
車に乗った途端、運転席の父さんが、ミラー越しに俺を見た。
「あ、母さんは家で待ってるから」
「うん!ちょっと揉めたけど」
「でもなんか一旦休憩挟んでから、話がトントン拍子で進んでさ…」
走り出す車。
俺は首を傾げた。
「何があったの?A。魔法でもかけた?」
「うん、そんなもん」
窓の外を見る人1は、少し笑ってた。
ごめんね、って、謝った白服さん。
その後はお互い妥協しながら、話は進んだ。
当初の通り、全員練習はリハ含めてたった三回になりそう。
みんなの振り入れとか練習とか、俺が何とかするから。って、
ぷんちゃんが言ってくれた。頼もしい人だ!
「曲の方はどうなの?」
お父さんは楽しそうに、俺たちの話を聞いていた。
「あー、だいぶ進んだよね」
「そうなの、Aのボイトレ先生も役立ってレコーディングもスムーズだったし」
「あとはダンスと…PV撮影もうすぐだね」
「そっか!」
「衣装の話なんだけど、外国の業者に頼んだらダサくなったって」
「母さん言ってたよ、それ…」
そんなハプニングも、まあ俺たちらしいというか。
グループラインで写真送ったけど、及第点!ってみんな笑ってくれた。
「いっぱい喋るねえ」
父さんは笑った。
「いつもみんなの前でこれぐらい、喋れたらいいのにな」
人1を見て言うと、頷かれた。
「でもさ、むすめんのみんなってマジおしゃべりだから、丁度いいよ」
「うん、楽しい」
って言ってから、
あおい、って人1は窓の外を見たまま、俺の名前を呼んだ。
「ありがとね、ほんと」
俺は、素でまた首を傾げる。
「何が?大体いつも、俺がAに感謝しなきゃいけないけど」
「ううん、逆だなあって、いっつも思うよ…」
「…褒めても何も出てこないからね」
「別に褒めてない。感謝してるの」
人1、変なのー。
「でも、Aちゃん大変そうだけど無理してない?ってよく言われるけどさ、大丈夫?」
人1はまだ俺を見ない。
「まぁ…部活入ってないし、忙しくはないかな」
「部活入れば?友達できるよ」
「どうせ喋れないから、無理だよ…」
「のっくんが、Aちゃんはカモクやからなあって言ってた。カモクって何?」
「あんまり喋らないってこと」
父さんが教えてくれる。
「Aそれなりに喋んのになぁ…不思議」
「お互い様だよ」
「俺も喋ってない?」
「相槌ばっかじゃん」
「誰に似たんだろうな…」
「むすめんのみんながすごい勢いで喋るからさ、気圧されるけど…たぶんそのうち、慣れてくんだよ」
81人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ひな(プロフ) - ご指摘ありがとうございます!!申し訳ありません、うっかり忘れてました…(_ _)更新頑張ります、よろしくお願いします…! (2018年10月7日 19時) (レス) id: 81ab03c3d0 (このIDを非表示/違反報告)
葵 - 楽しみにしてます!これからも更新頑張ってください〜!あ、あと(人1)の変換ないので作るか全て(名前)に統一して下さるとありがたいです! (2018年10月7日 16時) (レス) id: aa9580c9fd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ひな | 作成日時:2018年10月6日 5時