ひかる (ページ14)

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甘やかさないで◆12.05.05 ページ14

撮影は、思ったより順調に進んだ。

最初から最後まで、カメラを回したのは人１だった。
もはや母さんがスタジオに帰ってきた頃には、みんなは着替えを終え、椅子に座って談笑していた。

野クソ弁当、あすプに、男子校、関西組…。
ここにいる人達の中には、もちろん既にいくつかのグループができていた。
母さんが器具の撤収をするのを、俺は人１の隣で、パイプ椅子に座って眺めていた。

人１はノートパソコンにカメラをケーブルで繋いで、動画をパソコンに取り込んでいる。
慣れた手つき、って感じだ。

周りでみんなが笑い合っているのを横目に、
母さんの手伝いをしてこようと、立ち上がろうとした時、

「あーおいくんっ」

気まﾌﾟﾘさんが後ろから、俺の肩に手を置いた。
振り返ると、ノックソさんとぜあらるさんも。

「うわー、並ぶとほんまに見分けつかへん」
「そんなことはないやろ、ぜっちゃん！」
気まﾌﾟﾘさんはケラケラ笑って、俺と人１の顔を順番に見た。
「っていうかさぁ、見たで、HeartBeats！ほんまに踊ってくれてありがとうね。歌もびっくりした！あれほんまにAちゃん！？」

「あー、やっぱりあれの妹ってマジの妹ちゃんなんや！」
「チート兄弟や！」
ノックソさんとぜあらるさんが顔を見合わせる。

そう！人１は凄いんです！

俺は勝手に誇らしげになってたけど、
人１は照れて俯く。

「ママのお手伝いしてるん？」
そう言ってパソコン画面をのぞき込む、いつもは金髪のノックソさん。
今日は髪色が落ち着いている。

「ちょっとだけ、です」
「そんな二人にはご褒美やな！」
「帰りにアイスでも買ったげるよ！」
「ぷんちゃん僕のもよろしく」
「俺もー」
「二人は例外やろ！」

息をつく間もなく喋り続け、ゲラゲラ笑っている関西人の方々。
あんまり場に溶け込めないでいた俺らを気遣って、話しかけてきてくれたのかもしれない。

「子どもたちは甘やかさないでね」

でもその３人の後ろには、
後片付けを終えた母さんが立ってた。

「あっママ！」
ぜあらるさんは、何故か母さんと仲がいい。
「三人とも、今日はありがとう。あおいとAの面倒も見てくれて」
「いやぁ、すごいお利口な二人ですよ？俺もいつかあおいくんと動画撮りたいです！」

気まﾌﾟﾘさんが俺を見た。

「きまぷりさん」
「もう、ぷんちゃんでええよ！」
「ぷんちゃんっ、俺も撮りたいです、動画！」
「撮ろう！」

ぷんちゃんは両手で、俺と、
人１の頭も一緒に撫でた。