【刀剣乱舞】右手に黒薔薇、左手に拳銃 (ページ8)

今日:25 hit、昨日:8 hit、合計:7,817 hit

4話｢それはきっと、熟考の末の選択。｣ページ8

ズラリと並ぶ、モニターと刀剣。僕はモニターを操作しながら、情報を見比べた。

｢まったく無茶な要求をしてくるもんだな、『censor(センサー)』さんや。……初期刀は全刀剣男士の中から選ばせろ、とはねぇ｣
｢それくらいの自由は許されていいはずだよ。何せこれから僕は人殺しの神がいるところに行くんだからね｣

目標本丸にいる刀剣男士やその数を考えると、より僕にとって足手まといにならない選択をしなければならなくなる。そうすると……。

｢うん、まず短刀、脇差、槍、薙刀は除外だね｣
｢ほう？短刀と脇差は機動が高いから素早く動けるのに？｣

腕組みをしながら、雪落が僕に問いかけてきた。でも問題はそこではない。

｢短刀はリーチが短すぎるから不可。脇差も大体同様の理由だけれど、そもそもどちらも練度(経験)がないと十分な力を発揮できないだろう。最も戦闘能力の試される最序盤、つまり本丸に足を踏み入れた時に戦力がなければ意味がないんだ｣
｢へえ、なるほどねぇ？で、槍と薙刀が除外の理由は？｣

モニターに目線を向けたまま、僕は答える。

｢柄が長すぎる、僕に邪魔だ。それに刀と比べて1度振るのにも時間がかかるから、その分攻撃回数も減る｣
｢ああ、まあ大きいものはその分振るのに力がいるからな｣

何振りかピックアップし、その刀剣達を見比べる。そうしてまた、情報を目にして思考する。……うん、彼にしよう。

｢雪落、決めたよ。僕はこの彼を初期刀にしよう｣
｢こいつか？だがこいつは……｣
｢理由は後で説明する。さあ、顕現のやり方を教えて欲しい｣
｢はあ、分かった。アンタが決めたんならそいつにしてやりな。着いてこい｣

選んだ｢彼｣を手に取ると、そのまま雪落に着いて行った。人目に付かないようにか迂回をしているんだろう、随分と長い距離を歩いている。黙って後ろに着いていると、ある部屋の前に辿り着いた。

｢ここだ。この中で俺達みたいな政府職員は刀剣男士を励起させている｣

中に入ると、しめ縄の巻かれた祭壇の前に刀掛けが置いてあった。

｢そこにそいつを置いてやれ。それで霊力を込めるんだ。ピンと来なかったら、気を刀に送るイメージをするといい｣
｢分かった、やってみよう｣

言われた通り、なんとなくで霊力を込めてみる。すると刀がふわりと沢山の桜の花びらに変わり、空中を舞い始めた。

ふっ、と、桜が消える。そこに｢彼｣は立っていた。

｢阿蘇神社にあった蛍丸でーす。じゃーん。真打登場ってね｣