【刀剣乱舞】右手に黒薔薇、左手に拳銃 (ページ7)

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3話｢それはきっと、容易な提案。｣ページ7

｢それで、『的(ターゲット)』の情報を集めたらそれを元にその『的(ターゲット)』を秘密裏に処理(・・)する。僕のやることはそれで合っているかな｣
｢ああ、正解だ｣

モニター越しに雪落の目を見る。
こんなに回りくどくて時間のかかりそうな依頼を出してきたからには、相応の報酬を出してもらわないと困るなあ。そう思って、すっと右手を差し出した。

｢ん？｣
｢報酬はどれくらい｣
｢ああ、そうだな｣

顎に手を当て、しばらく考え込む雪落。報酬次第では辞退させてもらうつもりだ。釣り合わない仕事はやらない主義だからね。

パッと雪落は顔を上げ、数本の指を僕に示した。

｢3億｣
｢……ふうん｣
｢それに加えてアンタの望む最善最良の得物を用意してやろう。アンタは銃を使うだろう？弾もいくらでも俺の権限で用意してやる｣
｢へえ。悪くないね。むしろ上出来だ｣

ぱち、ぱち、ぱち、と手を叩いた。そして今度は横向きに、右手を差し出す。

｢交渉は成立だよ。雪落、僕はあなた達時の政府の依頼を正式に引き受けよう｣
｢ハハッ、助かるよ『censor(センサー)』。いい成果を期待している｣

僕を見て笑った雪落と握手を交わし、また改めて依頼内容の確認に入った。

①まず審神者として本丸に入り、刀剣男士を懐柔する。
②刀剣男士から｢的(ターゲット)｣の情報を引き出す。
③情報を元に｢的(ターゲット)｣を探し出し、処理(・・)。

並べ立てるだけなら簡単だ。誰だってできる。でも実行するのは簡単ではない。特に懐柔、情報の引き出し。これには感情の駆け引きが必要だから、やれない人は本当にやれない(・・・・)。
だがこの｢censor(僕)｣ならば？依頼達成率100％。1度たりとも失敗を許容しなかったこの僕であるならば？

モニターを全てオフにして、雪落は前かがみになりながら僕に問う。

｢さ、いつ本丸へ向かう？いくら命の危険があるとはいえ、生活の準備程度は必要だろう。それと、初期刀の配布もしないとなんねぇしな｣

膝に乗っけた肘、絡め合わせた指の上に顎を乗せながら僕は当然のように答えた。

｢そんなもの必要ないよ。劣悪な環境には慣れてるからね。今行こう。あと初期刀もいらない、足手まといだ｣
｢……初期刀不要は流石に許容ならんぜ。一応審神者の体で行く(・・・・)んだから｣

本当に足手まといなんだけどなあ。しかしそこまで言うなら仕方ない、従うことにした。ただし条件付きで、ね。