【刀剣乱舞】右手に黒薔薇、左手に拳銃 (ページ6)

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2話｢それはきっと、合理的判断。｣ページ6

｢ああ、和御魂(にぎみたま)と荒御魂(あらみたま)が逆になって、霊力バランスの崩れた本丸のことだね｣
｢……｣

またも雪落は黙ってしまった。当然だろう、こんな情報は秘匿中の秘匿なのだから。

災厄指定本丸とは、通称｢ブラック本丸｣と呼ばれる本丸の中でもタチの悪い本丸、らしい。災厄指定本丸の刀剣男士は、様々に災いを招くのだと調べさせて(・・・・・)もらった。
基本はその災厄指定本丸は、その本丸への道を閉じるとそのまま放棄するらしいのだけれども。

｢どうしてその災厄指定本丸に、僕が向かう必要があるのかな｣

素直に思った疑問をそのまま告げると、雪落は苦い顔をしながら僕に答えた。

｢理由は1つ。今回の目標(ターゲット)について最も詳しい情報を握っているのが、その本丸の刀剣男士だからだ。奴を処分するには奴の情報がいる。その情報を手に入れるには奴に近かった者に接触するしかない｣
｢ああ、なるほど。合理的な理由だね、理解したよ｣

こくりと頷いた。非常に合理的だ。情報を入手するには情報に近づくしかないからね。
同時に、もう1つ抱えた疑問も解消できた。

｢審神者として(・・・・・・)向かうのは、おそらく僕が合法的にその本丸の中に入るためだろう。上は許可したのかな｣
｢その通りだ。それと、上には既になんとかして誤魔化して許可を得ている。そこは問題ない｣

モニターに表示されている、僕が向かう予定の本丸についての文章に目を通す。なんだ、この本丸の刀剣男士は既に人殺しを行っているじゃないか。
点と点が繋がり、線になっていく。

｢暗殺者(僕)程の身体能力と実績があれば、この本丸においてもそう簡単に死にはしないと判断したんだね。お見事｣
｢お話が早いようで何よりだよ、『censor(センサー)』｣
｢だけど上には僕という人間(裏社会の存在)を投入するとまでは、どうやら言ってないんじゃないかい、様子を見るに｣

やれやれと言った様子で雪落は手を挙げ、ふ、と息をついた。

｢あーあー、裏の人間ってのは全く賢くて怖いもんだな。全部見抜かれちまうね、ハハッ｣
｢そんなことはないよ。僕よりずうっと賢くて、僕よりずうっと上手くやる(・・)人なんて沢山いるからね｣
｢だが『依頼の達成率は100%』なんだろ？『ハイドレンジア』としても『censor(センサー)』としても｣

その疑問にはこう答えることにした。

｢殺しの上手さとやり方の上手さは比例しない｣