【刀剣乱舞】右手に黒薔薇、左手に拳銃 (ページ5)

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第1章 1話｢それはきっと、馬鹿げている。｣ページ5

じっと目の前の彼を見ながら、僕は考えた。｢ハイドレンジア｣と｢censor(センサー)｣が同一人物であることを知っているということは、この人物は只者ではない。

この男──雪落(せつら)はどのようにしてそれを知ったのだろうか。……おそらく彼も、裏社会(こちら側)に通ずる何かを持っているのだろう。まあ、僕もおそらくは同じように(・・・・・・・・・・)彼のことを調べさせてもらったけど。

｢『censor(センサー)』、まずはアンタに出した依頼の内容を詳しくここで擦り合わせたい｣
｢問題ないよ｣

目線を動かさないまま、僕は答えた。雪落は電子モニターを操作し、僕にいくつかの資料を見せる。

｢こいつが『目標(ターゲット)』だ。この男。覚えたか？｣
｢ああ、覚えた｣
｢ついでに聞くが……時の政府が今何と戦っているか、何を運営しているかは知っているか？｣
｢歴史修正主義者を相手に、刀剣男士なんて馬鹿げたもの(・・・・・・)を呼び起こして戦ってるんだよね。そして刀剣男士は──｣
｢ちょっと待った。アンタ今なんて？｣

次は僕が遮られた。不快だ。こてん、と首を傾げ、これの事かと思った言葉をそのまま口にする。

｢馬鹿げたもの(・・・・・・)って｣

それを聞くや否や、雪落はため息をついて頭に手を当てた。

｢『censor(センサー)』、それは俺達に対する侮辱だ。同時に彼らに対する侮辱でもある｣
｢神の宿るモノをわざわざ人の形にしてまで人間に従わせるのは、馬鹿げているよ。いいかい、僕も含めて君ら人間の行為と道具は、愚かさによって成り立っているものだと理解した方がいい｣

僕が真面目な顔をして言い放つと、雪落はまたため息をつく。

｢……その考えを持っててもいいが、刀剣男士達の前では絶対に口にするなよ｣
｢ああ、分かっている。それで、続きはそうだね。刀剣男士は審神者によって励起され、審神者に従う。そして彼らは各自の本丸を拠点に活動を行う。……ここまで、合っているかな｣
｢あ、ああ……合っている。なら問題はないな｣

雪落の表情を、じっと分析した。おそらく驚いているのだろう。何せ、これらの情報は本来秘匿されている(・・・・・・・)ものだからね。

すいすい、とモニターを動かしながら雪落は僕に次の資料を見せてきた。

｢それで……アンタに審神者として(・・・・・・)向かって欲しい本丸がここだ。またの名を……『災厄指定本丸』｣