【刀剣乱舞】右手に黒薔薇、左手に拳銃 (ページ27)

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23話｢それはきっと、効率のいい解読。｣ページ27

数十分後──山姥切が、1本のペンを持って審神者部屋に戻ってきた。

｢本当にこれで合っているのか？｣
｢合ってるよ｣

不安そうに聞いてくるのも無理はない、そのペンは随分と可愛らしく、かつファンシーなのだから。ふわふわとした模様に、可愛らしいデフォルメ調の動物のイラスト。ピンクのような紫のような色をしたそのペンを、山姥切は僕に手渡した。
間違いなく『ひみつのインク』だね、本当に採用するとは。まあ、そういう言い方をしないと怪しまれるのは当然だから提案したまでだけれども。

｢ほら、ここを押すと｣

かち、とボタンを押すと、青い光が紙に照射される。それを刀剣達は囲むようにしてまじまじと見ていた。

｢分かったかい、これがUVライトだ。そして、これを｣

ひら、と手紙を裏返しUVライトを当てると、文字が浮かび上がってくる。

｢わあっ、文字だ！Aさん、文字が見えるよ！｣
｢これが不可視インク。分かったかい｣
｢随分と不思議な仕組みだね｣

くるくるっと光を紙の上で遊ばせたあと、僕は刀剣達に指示を出した。

｢さあ、日付順に僕に渡してくれ。読み上げるから、全員で内容を書き取るように｣
｢ああ、分かった｣

刀剣達全員に、紙とペンを用意させてある。｢ひみつのインク｣と案を提示したからには、送られてくるUVライトはせいぜい1本か2本だと思ったけれど、どうやら当たりだったらしい。だからこそ、読み上げは僕、もしくは僕と蛍丸だけがやる予定だった。この予想も大当たりだね。
内容の読み上げと書き取りも、何人もですれば間違いなく全ての要所を押さえることができる。理にかなっているだろう？

｢では1枚目から読み上げるよ。……『そちらの状況はいかがかしら？敵陣に入り込むのは大変だったでしょう』──｣

***

｢──『そろそろ気をつけた方がいいわ、バレないうちに逃げてしまいなさい』……。……はあ、疲れた。以上だよ｣

手紙は合計24通、その内容が1通につき紙2、3枚。これを全て読み上げるのは酷く疲れてしまった。普段こんなに喋ることがないからこそ、音読なんて苦行だよ。

手紙から顔を上げて見れば、みんなびっしり紙に内容を書き留めてくれていた。

｢ここから内容をまとめよう。まず1つ｣
｢手紙の送り主が、元審神者をここに送り込んだ張本人ってことだな｣
｢この女とあいつが共謀してたってのは間違いねぇ｣
｢そうだね、ひとまずの敵として認識していい。そしてこの人物は……ある場所を根城にしている｣