【刀剣乱舞】右手に黒薔薇、左手に拳銃 (ページ26)

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22話｢それはきっと、隠された筆跡。｣ページ26

……この香水、ブランドはペンハリガンかな。残念ながら僕は香水には疎いので、その種類までは判別できない。しかし、その香水の香りの中に、不自然な(・・・・)匂いを感じた。

｢……おや、これは｣
｢主さん、何か分かったの？｣

手紙をひっくり返し(・・・・・・)、その裏面の匂いを嗅いでみる。表面よりも強く香水の匂いがし、同時に感じ取れるそれ(・・)の匂い。ああ、なるほど。

｢不可視インクだね。おそらく裏面の方に、ブラックライトを当てなければ読めない、見えないインクで本命の内容(・・・・・)が書かれている｣
｢不可視インク……？｣
｢ブラックライト、って？｣

刀剣達は、不可視インクもブラックライトのことも知らないらしい。これは困った。そこから説明しなければならないとは。

｢ブラックライトというのは、紫外線を帯びた光のことだよ。UVライトとも呼ばれているんだ。不可視インクとはその名の通り、通常は目に見えることのないインクのことをいうんだよ｣
｢そんな物があるんですね……｣
｢さて、困った。おそらくお母様が送ってきてくださった荷物の中にも、流石にブラックライトを照射出来るものはないだろうね。ふむ……｣

仕方ない、とポケットからあの通信機を取り出した。ぽち、とボタンを押し、しばらくすると彼の声が聞こえてくる。

『──雪落だ。どうした、A。問題か？』
｢ああ、実に重大な問題だよ｣
『アンタが重大と言うとはねぇ。さ、言ってみな』
｢では言うけれども。ブラックライトを照射できるものを、早急にこちらに送ってきて欲しいんだ｣
『ブラックライトだと？』

数秒の沈黙の後、雪落は答える。

『……今、アンタ1人か？』
｢いや。数振りの刀剣男士と共に。安心して、既に事情は言っている(・・・・・・・・)。何も隠す必要はない｣
『ハァ？アンタ言っちまったのか？……まぁいい、それがアンタのやり方だってならこちらに口出しする権利はないからな。で、なんだ？ブラックライトが必要なのは、依頼に関係するのか？』
｢その通りだよ｣

通信機に向かって頷き、事の顛末を話した。手紙のこと全て。

『──つまり、情報を手に入れるには不可視インクによって書かれた内容を読み取る必要があると。ハハッ、こりゃ急がねぇとだな』
｢理由付けはなんでもいいよ。そうだね、例えば……短刀達が、｢ひみつのインク｣に興味を持った、とか｣

くくっと笑う声の後、彼は返事をする。

『それ、採用』