20話 ｢それはきっと、信頼による弾丸。｣ ページ24
｢裏？底面ってことかな。はい｣
｢……うん。やはりだ｣
この置物は、底面が｢組み合わされて｣いる。上部分には小さな穴。
｢これも鍵が必要かな。……いや、鍵ではないね。ゼンマイ仕掛けで、ゼンマイを回さないと開かない仕組みだな｣
｢A、どうやって開けるんだ？｣
｢うーん……そうだね。仕方ないけれど……蛍丸｣
ポケットから銃を取り出して、構えた。
｢信じてくれるね｣
｢もちろん｣
｢えっ、Aさんまさか……！｣
大理石が銃弾で壊れてくれるのかは分からないが、やってみる価値はある。狙いを定め……2発、その｢隙間｣に撃ち込んだ。銃声とともにバキ、と音がして、その大理石にはヒビが入る。……やはり銃弾だけでは厳しいか。だけどヒビが入ったなら上等。
大理石にくい込んだ弾目がけて、更に撃つ。その衝撃で弾は置物の中に入り、ヒビを中心に穴が少しだけ空いた。
｢うーん……中に入っているのは手紙だね。何通もある｣
｢手紙だと？｣
｢うん、手紙だ。でもこの位の穴では取り出せないな。何とかして穴を広げないと……鈍器とか、ないかな｣
｢鈍器だったら、主さん宛の荷物の中にハンマーか何かがあったよ｣
｢おや、お母様はやたらと用意周到なようだ、ではそれを──｣
｢山姥切さんっ、乱っ!!!!｣
突如、バタバタと何人かの刀剣が駆けつけてきた。いきなりどうしたんだろう。鯰尾と……和泉守に歌仙だ。
｢今、銃声が聞こえたようだけど｣
｢ああ｣
歌仙の言葉を聞き、納得した。いきなり僕が発砲したから、その音が本丸中に響いたんだね。驚かせてしまったようだ。
｢この置物を壊そうとしていたところだったんだ。手近にあるのが僕の銃しかなかったから｣
｢そうか……ならいいんだが、あんたまだ
｢ご忠告ありがとう。僕も迂闊だったね、気をつけるよ。……さて｣
立ち上がり3人を呼び込んで、置物
｢僕と蛍丸は今からそれを壊すハンマーを持ってくるから、少しの間それを持って待っておいて欲しい。ついでに穴を覗いて、何通ほどが入っているか把握しておいてほしいんだ｣
｢……分かりました、Aさん｣
それを蛍丸の代わりに持たせ、僕達は離れに向かう。
｢では少しの間頼んだよ｣
21話 ｢それはきっと、判別不能。｣→←19話 ｢それはきっと、怪しいモノ。｣
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作者名：蜂蜜パスタ | 作成日時：2024年1月14日 12時
