【刀剣乱舞】右手に黒薔薇、左手に拳銃 (ページ22)

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18話｢それはきっと、有用な技術。｣ページ22

｢それで、その裁縫道具は何に使うの？敗れた服の修繕？｣
｢違う。鍵を開ける(ピッキングする)のに使うんだ。この針1本しかいらない｣
｢針だけで鍵って開けれるの？｣
｢当然｣

ある1本の針を持って、外に待機している山姥切と乱(──この本丸の初鍛刀らしい──)に声をかけた。

｢道具は見つけた。審神者の部屋に案内してくれ｣
｢ああ、分かった。こっちだ……待て、道具とは？｣
｢これだよ。この針｣
｢針？｣

針を2人に見せると、訝しげな反応をした。おおかた、疑っているのだろう。こんな物で鍵が開けられるのかと。

｢鍵の仕組みにもよるけど、ほとんどの場合はこれだけで開けられる。よおく見てごらん、先端が普通の針とは違うだろう｣
｢あ、ほんとだ。ちょっと曲がってる｣
｢鍵が電子でもない限り、これさえあれば鍵なんて意味ないよ。まあ、電子錠だったとしてもその場合はハッキングすればいいだけ(・・・・・・・・・・・・)だけど｣
｢……Aさんは色々な知識があるんだね｣

神妙な顔をして頷く乱だが、それは違うと首を振った。

｢これは知識じゃない。技術だ。いいかい、もう一度言うよ。僕は暗殺者(・・・)だ。……さあ、案内してくれるかな。そろそろ『的(ターゲット)』の情報も欲しいんだ｣

僕が言うと、2人は分かったと歩いていく。ああ、本丸は広い。とはいえ僕の実家(屋敷)と同じかそれより少し小さいくらいだ。しばらくすれば慣れていくだろう。

階段を登った先に、その部屋はあった。

｢この本丸においては唯一の2階部屋で、唯一の鍵付き部屋だ。その鍵も審神者が全て持って行ってしまったから、俺たちではずっと開けられなかった｣
｢予備の鍵も取られていたのか、ふうん。いいよ。少し待って｣

扉に近づき、じっと鍵穴を見る。うん、これなら簡単だ。

｢この鍵穴なら2分で開けられるから、少し待っていてくれるかい｣
｢分かった｣
｢頑張って、主さん｣

山姥切の返事と蛍丸の激励を聞き、乱が頷くのを見るとすぐに針を鍵穴に差し込んだ。
この鍵の仕組みは実に簡単だ、防犯性能は低い。低いと言っても僕達基準だけれどね。そして、この程度の鍵ならばピックは先端の少し曲がった針でいいし、テンションもいらない。

カチャカチャと針を、鍵穴を動かし続け、遂にガチャリと鍵の開く音がする。

｢!!!｣
｢あっ……開いた！｣
｢さっすが俺の主さんだね｣

3人の反応を聞き振り返ったあとで、僕は扉に手をかけた。