【刀剣乱舞】右手に黒薔薇、左手に拳銃 (ページ20)

今日:14 hit、昨日:8 hit、合計:7,806 hit

16話｢それはきっと、実家の心配性。｣ページ20

数日後──ある一通の手紙と共に、大量の荷物が本丸に届いた。荷物からは良い香りがする。アッサム？それからプリンス・オブ・ウェールズもあるね。ああ、イングリッシュ・ブレックファストもあるじゃないか。流石は僕の家(・・・)。

この数日の間に、まずは全員との接触を図った。一言言葉を交わすだけでも多くが分かるからね。
結果、結局は審神者があくどかったことが分かった。それから多くの者はどうやら僕に恐怖心を抱いているようだ。何故だろう。

｢A。それはなんだ？｣
｢ん、これかい。ついに返事(・・)が来たよ｣
｢いや、そうではなく、その荷物だ｣

荷解きは今、蛍丸がやってくれている。山姥切(──フルネームで呼ばれるのは好ましくないと言われたので、そう呼ぶことにした。ついでに僕も、僕が励起させたわけでもない刀剣に｢主｣と呼ばれるのは好ましくないので審神者名で呼んでもらっている──)は、訝しげに大量の荷物達を見ていた。

｢実家からの荷物だよ。どうやら僕の父と母は、心配性のようでね｣
｢主さん、こっちは服だよ。こっちはお菓子。それでこっちはお茶｣
｢助かるよ、蛍丸｣

手紙は手に持ったまま、荷物を僕の一時的な部屋……離れに移すよう蛍丸に命じた。審神者部屋もあるにはあるのだけれど、鍵がかかっていて入れないからね。こじ開ける(ピッキングする)には道具がなかったから。

｢蛍丸、荷物を移し終わったら母屋の大広間においで。そこで手紙の開封をするから｣
｢はーい｣
｢僕と山姥切は、全員を大広間に集合させよう。いいね｣
｢分かった｣

三手に別れた僕ら。蛍丸は荷物移し、僕と山姥切は片っ端から刀剣達に声をかけ大広間に集合させる。

何十分か経った頃、ようやく全員を集合させることが出来た。まったくこの本丸は広い上に誰がどこにいるかも分かったものじゃない。はあ、放送機能でも付けてやろうかな。

｢ただいま、主さん｣
｢おや、おかえり、蛍丸。あなたが最後だ。あの量の荷物は大変だっただろう｣
｢そんなことないよ。俺にはへっちゃらすぎたね｣
｢そうかい。頼もしいね｣

蛍丸の頬を撫でる。すると僕の手を掴んですりすりと猫のように自分の頬に撫で付けるものだから、ああ、可愛らしいと心の底から思った。あなたの可愛さは憎いね、蛍丸。

｢さて、では全員集合している事だし手紙の文を読みあげようか｣

皆が注目している中、僕は手紙の封を切り、それを読み上げた。