【刀剣乱舞】右手に黒薔薇、左手に拳銃 (ページ19)

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15話｢それは紛うことなき、暗殺者。｣ページ19

所変わり政府。

足を机の上に上げ、実に不真面目な態度で椅子の肘掛に頬杖を付きながらモニター操作をしていた雪落は、例の災厄指定本丸──Aの向かった本丸のゲートが勝手に開いた(・・・・・・)形跡を発見した。

｢あ？んだこれ……｣

すっとそのモニターをタップし、情報を読み凝視する。

｢この座標……どこだ？……U.PO……？なんだそりゃ……｣

別の電子モニターを起動させ、｢U.PO｣について調べる。しかし調べても調べても、｢U.PO｣についての情報は見つからなかった。だが同時に、Aの本丸のゲートに、別の形跡(・・・・)を見つける。それは簡単なファイルになっていた。
ファイルを読み込むと、雪落はふっと息をついた後で笑い出す。

｢くっくっくっ……あっはっは!!! やっぱり裏の人間は裏の人間だな、ははは!!!｣

そこにはただ一文、｢Do not belittle the information I have.｣とだけ書かれていた。

***

刀剣男士達は、新しくやってきた審神者(暗殺者)に見られることに実に不快感を示していた。そもそも全身が警告を鳴らしているのだ、｢奴は危険である｣と。それは戦場でも感じたことのない、実に不気味な(・・・・)恐怖であった。

審神者……Aは、実に恐ろしい目をしていた。凝視されていれば萎縮してしまうような、｢視線の不明瞭な瞳(同心円目)｣。見つめられている、というより｢見透かされている｣という感覚が勝ってしまう。

何よりもAは、表情が一切動かないのだ。今まで殺してきた(・・・・・)彼らは、多少なりとも動揺や怯えを示していた。しかし彼あるいは彼女には、それすらない(・・)。

その上声にも抑揚がなく、全て淡々とした調子で感嘆符をつけることもなく話す｢それ(・・)｣には、調子が狂ってしまった。まるで感情などないとでもいうように、彼あるいは彼女は、無表情に無感情に全てを行う。

Aは特別殺しが好きなわけではないようだが、嫌いなわけでもないらしい。今の世に、そこまで殺しに執着しない(・・・・・)人間がいるとは誰も思わなかった。

｢それ(・・)｣は、危険だ。だが同時に希望でもある。

無表情、無感情な彼あるいは彼女。｢それ(・・)｣ならば自分達を救い出してくれるのでは？そんな微かな期待が込み上げる。

でも。

｢ねえ、山姥切さん……｣
｢ああ、分かっている、乱｣

｢それ(・・)｣が信頼されるまでは、程遠そうだ。