【刀剣乱舞】右手に黒薔薇、左手に拳銃 (ページ18)

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14話｢それはきっと、完璧な合意。｣ページ18

｢待て、黒薔薇の一族とはなんだ？センサーとは？ハイドレンジア？｣
｢『黒薔薇の一族』は僕の生まれた一族のことだよ。裏社会(こちら側)では殺しの名家としてその名は知れ渡っている。『ハイドレンジア』というのは『黒薔薇の一族』としての僕の通り名だね。『censor(センサー)』とは、僕が個人で活動していたら勝手に付いた通り名だ｣

淡々と説明するが、知らない単語が3つも並んだからか混乱しているようだ。仕方ない、もう少し噛み砕こう。

｢『ハイドレンジア』は組織の構成員としての僕。『censor(センサー)』は個人として活動している僕。つまりそれぞれ別の(・・)暗殺者だ｣

ようやく分かった、というように僕を見る山姥切国広。

｢『censor(センサー)』としても、『ハイドレンジア』としても『的(ターゲット)』を追うのは……まあ少しややこしくなるけど、そう悪くない案だと僕は思っている。『ハイドレンジア』に依頼を出すかい｣
｢ああ……依頼を出そう。この本丸において、全ての最終決定権は俺に委ねられている。お前たち、これは俺の出す最終決定だ。分かったな｣

全員が、了承するかのように反応した。屋根にいた刀剣達も、いつの間にやら下に降りてきている。

｢それで、黒薔薇の一族とやらを通すんだろう？どうやって依頼を送ればいいんだ｣
｢ああ、今から依頼文の書き方を教えるよ。さあ、母屋に入れてくれるかい｣
｢分かった｣

僕と蛍丸の間を突っ切り、玄関の戸に手をかける山姥切国広。
ああ、そうだ、と思って蛍丸を撫でた。

｢蛍丸。いい働きだったよ、よくやったね｣
｢えへへ、当然だよ｣

にへらっと笑う蛍丸。随分と可愛らしい。

｢さあ、入ってくれ｣

客間らしき部屋で、紙とペンを用意させて依頼文を書かせた。内容は当然、｢黒薔薇の一族(僕達)｣にふさわしいものになっている。当たり前だ、僕が監修したんだからね。

｢これを、どうすればいい？｣
｢封筒に入れたね。では宛名に『Mar.t.BR』と書いて｣
｢こうか？｣
｢そう。それでそれをU.POに出す。出し方は……｣

こそこそと山姥切国広に耳打ちした。山姥切国広は、こくりと頷き立ち上がる。

｢ゲートを通しても送れるんだな？｣
｢ああ、時の政府システムによって鑑別されるU.POの座標は既に調べさせて(・・・・・)いただいているからね｣
｢わかった。ひとまずはあんたを信用するとしよう｣

さらさらと紙に座標を書き、山姥切国広に渡した。