【刀剣乱舞】右手に黒薔薇、左手に拳銃 (ページ17)

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13話｢それはきっと、美しい依頼。｣ページ17

｢さあ、そこでだ。僕に、この世で1番殺したい相手の名前を言ってくれるかい。僕ならやれる(・・・)よ｣
｢……｣
｢もしかして、『裏切り』を心配しているのかな。それなら大丈夫。僕は依頼人を裏切ることはしないよ。なぜなら依頼達成率は100％だからね｣

ざわめく刀剣男士達、警戒を解かない蛍丸。僕はああ、と、彼らに、追加の一言を言った。

｢それとも既に、あなた達の殺したい相手は僕の『的(ターゲット)』であると伝えた方がいいかな｣
｢……!!!｣

全員に、明らかな動揺が走るのが見えた。山姥切国広が、刀を仕舞い、そして全員に合図をする。それを皮切りに、あるものは刀を納め、あるものは刀を下ろした。

｢……つまり、俺たちの元主である審神者(・・・・・・・・)は、あんたが殺してくれるということだな？｣
｢ああ、そういうこと。時の政府にその依頼を受け、僕はここに来た｣
｢……｣

顎に手を当て、考え込む山姥切国広。どうやらまだ迷っているらしい。
山姥切国広の横に、彼は……薬研藤四郎か。薬研藤四郎が来て、言った。

｢山姥切。賭けてみてもいいんじゃないか｣
｢薬研……だが｣
｢ああ、分かってる。だがあのお人の言うことは嘘ではないんだろう。……恐らくだがな｣
｢そうだな……分かった｣

こくりと頷き、山姥切国広は僕に屋根から降りるように言ってきた。今彼に敵意はない、ここは要求を飲むことにしよう。蛍丸に合図をし、僕は蛍丸と共に屋根から降りる。

｢あの審神者を殺してくれるんだな、あんたは｣
｢ああ、必ず。……ああ、でも少し待って｣

ふと思い出し、考え込んだ。｢censor(センサー)｣としては既に依頼を受けてしまっている。僕は｢censor(センサー)｣としての依頼は、｢的(ターゲット)｣が重複しないようにしているんだ。これは困った。例外でもいいかなあ。ううん、どうしようか。

考えに考えた末、僕は山姥切国広にこう問いかけた。

｢依頼内容を今、言ってみて｣
｢……俺たちを裏切り、｢敵は全て殺せ｣という呪いだけを残して消えた審神者に……この刃の届かない俺たちの代わりに、どうか報いを｣
｢うん、なるほど｣

うんうんと頷く。これはいいね。

｢それをそのまま、『黒薔薇の一族』に依頼として送るんだ。直接僕、『ハイドレンジア』への依頼となるようにね｣
｢……黒薔薇の一族？｣
｢そう。そうすれば僕は、『censor(センサー)』としても『ハイドレンジア』としても動けるよ｣