【刀剣乱舞】右手に黒薔薇、左手に拳銃 (ページ1)

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前日譚1 ｢それはきっと、冷淡。｣ページ1

──2205年、時の政府本庁内のある一角で、数人の男達がざわめいていた。ある者は怯え、ある者は首を傾げ、ある者は震え。皆が様々に反応している。

｢ほ……本当に呼ぶんですか？『あれ(・・)』を？｣
｢ああ、呼ぶ｣
｢ですが相手はあの一族ですよ……そんな簡単に事が進むわけがありません｣
｢いや、奴は必ずこちらの要求を飲む｣

真ん中で座っている男は、恐らくこの集団の中で最も地位のある身分なのだろう。堂々としていた。

｢あの悪質な存在を確実に抹消できるのは奴だけだ。そして奴をこちら側に引き入れられるのも、俺だけ｣

小さな声で、しかしハッキリと言い切る。……声が小さいのは、周囲に聞かれないためだろうか。よくよく見れば、他の人物も周りを気にしていた。

｢『目標(ターゲット)』は既に我々の目のつかないところに姿を眩ませた。そんなことが上に知られてみろ、俺達は全員どうなるかも分からない。だが奴を引き入れられれば、確実に、確実にだ。『目標(ターゲット)』を処分できる｣
｢しかしいくらなんでもリスクが大きすぎます！『あれ(・・)』は容赦のなさで有名なんですよ！こちらが『あれ(・・)』の処分対象(ターゲット)になる可能性だってあります！｣

ざわめきながら、男に反対の声を挙げる者達。それでも男の意志は決して揺らぐことを知らず、周囲の者にキッパリと告げる。

｢いいか、『目標(ターゲット)』の発見と処分は、全てあの黒薔薇の一族──その1人、『ハイドレンジア』に依頼するんだ。分かったな｣