【刀剣乱舞】愛せないから愛させない。*弍色*

68色目 ｢ジャガイモはあとで私が裏庭に投げておいた｣。 ページ25

｢うげェっ……ここもひっどいなこれ、掃除してもし足りないじゃないか……。あ、ごめんこれ捨ててくれる？｣
｢……ああ｣
｢あの……これは……｣
｢ん？ うわなんだこれ、ジャガイモ？ 腐ってはないみたいだし、どっか庭に埋めときゃそのうち新しいジャガイモ生えてくるだろ｣

ものすごく渋る2人をどうにか説得し、今は厨の掃除中。昨日はお湯沸かしに来ただけだったからあまり細かくは見ていなかったが、隙間からなんかおぞましい物質が出てきたり、小夜が持ってきたみたいな芽の生えた芋が転がってたり、埃が溜まってたり油汚れが固まってたりと、まァひどい有様だった。

全く使われてなかったわけではないんだろうが、それにしてもなんで掃除しなかったんだ前審神者さんよ。

｢……庭に、埋める？｣
｢うん。だってほら近くに畑あるんだろ？｣
｢あるけど……｣
｢だからそこに…………｣

言いかけて止まった。畑も掃除しないと、ヤバくね？ もちろん今日やらないといけないわけじゃないけど。私、一体何ヶ所掃除すればいいの？ 敷地全部取り替えたり出来ないの？ほら引っ越すとか……そしたら私の苦労も減るんだが。

｢……畑は今使えねェし……裏庭にでも投げとけ｣
｢え……わ、わかった……｣

縮こまりながら掃除に戻る小夜。改めて見るとめちゃくちゃ小さい。小学校低学年くらい？こんな小さい子まで戦うのか……。

なんて考えていると、山姥切に声をかけられた。

｢……掃除は手伝ってるだろ｣
｢ん？ え、はい？ うん、そうだな？｣
｢俺のなんの色が気に食わないのか、そろそろ説明してくれてもいいんじゃないのか｣
｢……え｣

どうしよう。被ってる布の隙間からジトっと見てくる山姥切。なんか……その目すごく怒ってる時のアニキみたいだから怖い……やめて……。
しかしどうしようか。説明するにも多分、また数十分はかかるだろうし。かといって説明しないのもまた不信を買うだろう。

……とりあえず、理由もなく山姥切の目を見つめてみた。そのままじっと焦点を合わせ、視界に色を集める。

｢…なんだその目は｣

ああ、いけそう。なんとなく大丈夫そうだと直感が言うもんだから、このまま説明してしまうことにした。

｢……『お前も、俺が写しだというのが気に入らないのか』｣
｢……は？｣
｢『どうして俺の言おうとしていることが分かった？思考を読まれた？どういうことだ？ ……こいつは何者なんだ？』……ってか？｣
｢なっ……｣

大丈夫大丈夫、まだいける。

69色目 ｢言葉でできない説明の代わりに、誰かこの概念を体験してくれ｣。→←67色目 ｢自分はダメだけど他人はいいみたいなのよくあるよな｣。

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