次期社長のお目付役 (ページ3)

今日:6 hit、昨日:53 hit、合計:25,181 hit

3話ページ3

京本部長のことを一言で表すなら、

『優しい方です。』

京本「は？やり直し。1週間何見てた？」

お、怖い顔。

でも、私は彼の優しさを知っているから怖くない。

『京本さんは、勘違いされやすいだけで、根はとても優しい方です。部下のことをよく見ていて、フォローが必要な時はフォローしますし、必要ない時は見守っています。体調の変化にも敏感です。』

澄ました顔をしているけど、耳が少しだけ赤い。

照れてる？ちょっと可愛いかも。

京本「何ニヤニヤしてんの？」

『してません。』

思ったより、とっつきやすい人？

京本「なんか調子狂うな。」

え？！

『申し訳ありません。』

嫌な気持ちにさせちゃった？

京本「これ、処理してくれる？」

申請書と領収書？

京本「嫌ならいいけど。」

『やります！やらせてください。』

もしかして、少し信用してくれた？

京本「それと、付き纏うのは禁止。」

そうでもなかった。

『はい。申し訳ございません。』

京本「聞きたいことがあるなら、俺に直接聞けば？」

そういうことか。

やっぱり、京本部長は優しい人だ。

『ありがとうございます。』

京本「別に。」

嬉しいな。

午後からも頑張れそう。

ーーーーー
それから1週間が経った頃、私は社長に呼び出された。

『失礼します。』

社長「お、来た来た。悪いね。呼び出して。」

ニコニコしてるように見えるけど、何の呼び出しなんだろう。

『いえ。』

社長「息子はどう？」

え？もしかして、探りを入れられてる？

社長「あの子は、社長に向いてると思う？君からはどう見えている？」

私に聞いてどうするつもりなんだろう。

『私は、京本部長は優しくて、周りのことをよく見ていて、少し不器用なところも勘違いされやすいところもありますが、絶対にいい社長になると思います。』

ちょっと生意気だったかもしれない。

社長「やっぱり君に頼んでよかった。あの子のことをそこまで理解できた社員は君が初めてだよ。」

理解ってそんな。

『あの、一つだけ聞いてもいいですか？』

社長「うん。なんでも聞いて。」

『どうして私だったんでしょうか。私よりもベテラン秘書はたくさんいますし、若くて可愛い子がいいなら、私である必要はありません。』

私は一番中途半端だ。