Second.好きなんだけど ページ3
Noside
そんな出会いから、1年以上が経ったある日。
キ「なぁ」
『...何ですか?』
キ「俺さ、お前のことが好きなんだけど」
『...そういう風に素直に気持ちをぶつけられるのは、初めてかもしれませんね』
少女は、青年と出会ってからあまり見せない笑顔を見せた。
青年は、子供っぽい、でもどこか大人びた彼女の笑顔を見て、また胸を高鳴らせた。
『...でも、ごめんなさい。私、好きな人がいるんです。...今は、好きかどうか分からなくて不安ですが』
このままキヨさんを好きにならないで付き合っても、
キヨさんが苦しんでしまうだけですから。
と、彼女は少し悲しそうに笑うのだった。
キ「...そっか。ありがとな」
フラれたのに、やっぱり青年を気遣うその言葉に、
青年はますます彼女のことが好きになった。
『でも、もし私が、貴女を好きになれる日が来たら...
いい、ですよね』
キヨの家の窓から見える、飛行機雲を見ながら、彼女が理想を語る。
その瞳は、どこか寂しい色をしていた。
キ「...あぁ」
青年は少女を嘲笑うかのように照っている太陽を睨みつけた。
*******
少女は、久しぶりに友人の元へ訪れた。
高校時代、少年しか見ていなかったときに少女を支えてくれた友人の元へ。
友人は、何も変わってはいなかった。
変わっていたのは、家に子供と旦那が居ることだけ。
『お久しぶりです。子供が出来たんですね、天さん』
天「もう、敬語癖は直ってないのね(笑)久しぶり」
友人は、少女をもてなした。
旦那は今日は居ないらしく、子供はおもちゃで遊んでいた。
『すいません。最近は落ち着けていなかったので...』
天「いいのよ。貴女の事情は知ってるもの。で、今日はどうしたの?」
少女は悩みがあったのだ。
少女は少年を本当に好きなのかが、分からなくなってしまった。
青年に出会って、青年に好意を伝えられて。
青年の仲間達とも出会って。
この1年で、少女は少年への気持ちがどんなものだったか、少年への気持ちが、雲に隠れた太陽のように曖昧になってしまった。
天「...なるほどね」
1人頷いて、友人は少女の方へ向き直る。
天「私は、貴女の事情をよく分かってる。だからこそ、貴女は私に頼ってくれたと思うの。レトルトのことは_____」
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作者名:神風 | 作成日時:2018年2月3日 21時