Chapter ページ5
軋む廊下を歩いて、庭に出る。生い茂る雑草も取り除かないといけないねえ。さあて、やる事が沢山ある。人ではあるに限るのだけれど、あの様子だと協力なんてしてもらえないだろう。
頼りにならない地面を踏みつけて離れへと到着する。ああ、ここも空気が重い。
「こんのすけくん。」
私が名前を呼ぶとぼふん、と白い煙を立たせて現れる管狐。そのつぶらな瞳に一瞬だけ不安が現れたが、私の姿を見ると安心したように目を細めた。
「どうなさいましたか?」
「こんのすけくん。私はここの空気を綺麗にしたい。このままだと肺が腐って仕方がないよ。どうすればいいのか教えてもらえるかな?」
「かしこまりました!」と部屋の真ん中まで移動する。はて、場所も関係があるのだろうか。
「審神者様!こちらに起こし下さい!」
こんのすけくんの言う通りに従って部屋の真ん中までやってくる。歩く度にズボンが擦れて、そしてその度に真新しい畳の香りが鼻をかすめた。
「中央の方が効果が大きいのですぞ!ここで願ってくだされ!」
「はて、願うとは?そんなに簡単でいいのかねえ。」
「審神者様は霊力がとても多いので、願うだけで空気も綺麗になる事でしょう」
案外簡単にいくらしい。
目を閉じて、ふう、と一息ついた。
さあ、空気よ。綺麗になっておくれ。
ゆらり、と目には見えない形で空気が澄んでいくことが分かった。目には見えずとも身体で感じることは出来る。
そして完全に澄んだであろう頃に目を開けると、心做しか視界が明るくなったように思えた。
「こんのすけくん。これでいいのかな。」
「流石です!」
さて、空気は澄んで幾分か暮らしやすくなった。まだやる事は沢山あるが、それも仕方が無い。
とりあえず離れの中だけでも把握しておかなければ。この歳で迷子だなんて、恥ずかしいからねえ。
「度々申し訳ないが、この中を案内してはくれないだろうか?何かあった時のために把握しておきたいんだ。」
「よろしいですぞ!ただこのこんのすけ、審神者様よりも足が短いものでして」
「ああ、そうだねえ。頭なら、乗っても構わないよ。こんのすけくんには力になってもらっているからねえ。」
「ありがとうございます!」と元気よく飛び上がったかと思えば、軽々と私の頭の上に乗る。振動もなく、重さもなく。本当に乗っているのか不思議な気持ちにはなるが、上から声が聞こえるから大丈夫だろう。
「さあて、まずはどこから行こうかねえ……。」
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伽倻(プロフ) - メンタル弱い系人間さん» コメントありがとうございます。図々しくなんてありませんよ!面白いと言って頂けてとても嬉しいです。応援ありがとうございます。頑張りますので、どうぞよろしくお願いします。 (2018年1月28日 16時) (レス) id: fb5b5e8505 (このIDを非表示/違反報告)
メンタル弱い系人間 - 初めまして!!図々しいかもですがこのお話とても面白いです!!応援しています!!伽倻さんの作品の良さがもっと伝わって欲しいです!! (2018年1月28日 15時) (レス) id: ba1024f461 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:伽倻 | 作成日時:2018年1月24日 23時