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私の願いを知らない子供たちは純粋な笑顔を向けてくれる。例えばもし、私がこの子たちの事件吸収機さを知らなければ可愛いなぁと思えただろうに。


「仮面ヤイバーのカードありますか?」


カウンターに手をついて一生懸命背伸びをして私を見てくる。……普通の子供なら可愛いんやけどなぁ。思わず白目を向いてしまうのをなんとか抑えて、仮面ヤイバーの商品があったかな、と思い返す。

しかし万引き防止のために子供の好きなカード類は全てレジ前に置いてあり、そこになければこの店に子供たちの目的のものはない。


「うーん。ここになかったらないかなぁ」


そっかぁ、とあからさまにしょんぼりした表情を見せる子供たち。ないもんはないねん。しゃーないやろ。

「売り切れてしまったんですね……」
「もう三軒目だぜ」
「他にコンビニないかなー」


今は他にお客がいないからいいものの、いたらなばレジ前で話し込む子供たちは完全に営業妨害に入るだろう。個人的にはすごく帰ってほしい気持ちがあるが、店員とお客である以上それは言えない。

ニコニコと引き攣っている時間のある笑顔を浮かべながら九条さんを見ると、声を出さないように笑っていた。


なんなん!自分が対応してへんからって!


「……頼んどこか?」


早く帰ってほしい一心で伝えた言葉に後悔する。また来るやん。いや私がおらん時にくるやろ、うん。
私に発注の権限はないが、九条さんや昼間に入っている主婦さんたちに頼めばなんとかなるだろう。
この世界で仮面ヤイバーって人気やった気がするし。


周りに会社しかないものの、少し歩けば住宅街に入る。そこにどれだけの仮面ヤイバー好きの子供がいるかはわからないが、まあ、一ロットぐらい簡単に……。


子供たちは私の言葉を待っていたかのように顔を輝かせる。


「いいの!?」
「たぶん……。ね、九条さん」


耐え切れないのか小さく声を漏らしている九条さんを巻き込む。一人だけ安全地帯なんてずるい。


「ねーちゃん優しいな!」
「ありがとうございます!」
「いつならある!?」


子供たちの元気に負けてしまう。身を乗り出しているから足が辛いだろうに、そんなことも感じさせないほどの笑顔だ。


「えーと、一週間後に来てくれたらあると思うよ」



頼むから私がいる時に来ないでくれ。

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イブ - ずっと待ってます 頑張ってください (2018年6月9日 13時) (レス) id: be0a1a1bcb (このIDを非表示/違反報告)
小娘(プロフ) - 大好き(挨拶) (2018年2月9日 9時) (レス) id: f8e2b61c37 (このIDを非表示/違反報告)
cherry_chan0111(プロフ) - 一言だけ言わせてください。好きです (2017年12月26日 23時) (レス) id: 1f676652e8 (このIDを非表示/違反報告)
陽奈(プロフ) - 初めまして、コメント失礼します!文章が素敵すぎて一気読みしました!!降谷さんのかっこよさとか、夢主ちゃんが恥ずかしがってるのとかすごく伝わって来てキュンキュンします…!これからも応援してます!更新頑張って下さい!! (2017年12月26日 23時) (レス) id: 9ee5965ffd (このIDを非表示/違反報告)
ムルムル(プロフ) - フラグ立てても打てるやん…^^; (2017年12月8日 14時) (レス) id: 42a08529e9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:伽倻 | 作成日時:2017年12月8日 0時

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