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どれだけの時間走ったのかはわからないが、終始放心状態だった私は気が付いたら目的地へと到着していた。それに気付いたのも、ゼロさんに名前を呼ばれたからだけど。
「ついたよ。大丈夫?」
「大丈夫です!行きましょう!!」
これ以上こんな近くにゼロさんがいるなんて死んでしまう。急いでシートベルトを外し、車から降りる。ゼロさんは私よりあとから降りた。
「さぁ、行こうか」
日曜日だからか水族館の中は人で溢れ返っていた。もう事件フラグビンビンに立ってるんですが。何も無いことを祈りながら、水族館の中へ入る。
九条さんからもらったペアチケットのおかげで並ぶことなく中に入ることが出来た。
少しの距離をあけてゼロさんと並んで歩く。隣に並ぶだけでも恐れ多いのに、すぐ隣なんて歩けるわけがない。
「どこから見る?」
「えっ、んー、」
どこにしようか。水族館とかあまり来ないからわからない。地元にあるのはあまり変化がわからない海遊館だし。
入口付近にある案内板とにらめっこをする私の後ろでゼロさんが眺める。
……うーん?
首を捻って考えていると、後ろから名前を呼ばれた。Aちゃん、と呼ぶのは一人しかいない。
「順番に見てまわろうか。時間はたくさんあるから」
「んー、そうします」
ゼロさんの隣に並んで歩く。
可愛らしい生き物からちょっとグロテスクな魚まで様々だ。人の多いところが苦手故に実家近くにある海遊館にすらまともに行ったことのない私は、新鮮なものばかりで自然とテンションも上がっていく。
「うわぁ……かわいい……」
人の波に流されながらものんびりと鑑賞しながら進んでいく。
硝子に手をついて顔を最大まで近づける。これで自分の顔が写ることなく中を見ることが出来る。
「ゼロさん!めっちゃかわいい!!」
ほら、と手招きするとゼロさんは隣で中を覗き込む。知識が豊富なゼロさんからすれば珍しいものでもないだろうに、なぜか食い入るように眺めるゼロさん。
横を見ると思ったよりも近い距離に驚いて、私は硝子から勢いよく顔を離す。
「ん?どうしたんだ?」
「いえ!何でもないです!」
近かったから離れましたとか言われへん……!意識してんのバレバレやん!いや、多分もうバレてるやろうけど。
そもそもこんなイケメンが隣におるとかほんま信じられへんゼロさんしゅき……。
「そうか?……そろそろ次に行こうか」
「え、あ、ソウデスネ」
片言になったのは仕方の無いことだと思う。
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イブ - ずっと待ってます 頑張ってください (2018年6月9日 13時) (レス) id: be0a1a1bcb (このIDを非表示/違反報告)
小娘(プロフ) - 大好き(挨拶) (2018年2月9日 9時) (レス) id: f8e2b61c37 (このIDを非表示/違反報告)
cherry_chan0111(プロフ) - 一言だけ言わせてください。好きです (2017年12月26日 23時) (レス) id: 1f676652e8 (このIDを非表示/違反報告)
陽奈(プロフ) - 初めまして、コメント失礼します!文章が素敵すぎて一気読みしました!!降谷さんのかっこよさとか、夢主ちゃんが恥ずかしがってるのとかすごく伝わって来てキュンキュンします…!これからも応援してます!更新頑張って下さい!! (2017年12月26日 23時) (レス) id: 9ee5965ffd (このIDを非表示/違反報告)
ムルムル(プロフ) - フラグ立てても打てるやん…^^; (2017年12月8日 14時) (レス) id: 42a08529e9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:伽倻 | 作成日時:2017年12月8日 0時