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6時間の辛抱 ページ13

もう、深夜12時。

「錦子、6時になったら
俺から開けるから、絶対に自分から開けるな…

分かった?」


「うん…」



私は押し入れの中に隠れた。

日が出る6時になったら
お兄ちゃんがあけてくれる。


それまで、何があってもこの扉は開けない。



そう、お兄ちゃんと約束した。



「…俺も入ってなくて大丈夫?」

俺の声真似されたら大変や…と考え込むお兄ちゃんに

「大丈夫だよ。」と私は伝えた。




お兄ちゃんまで連れていかれたくない。

お兄ちゃんをこれ以上巻き込みたくはない…。





「…6時間、6時間頑張れよ。」

「ありがとう、お兄ちゃん…」



私は長い6時間を
押し入れで過ごすことになった。






しばらく静かな時間が流れた。


ポポッ…

「…!?」



一瞬びっくりしたが鳩時計や…

鳩時計の音にもこんなに反応してしまうくらい
恐怖で震えていた。





それから、体感では2時間すぎた頃

ポポッ…

今鳩時計がなった。


なったということは

今は深夜2時。





「…錦子。」

急に扉のむこうから
声が聞こえてきた。


「…っ……お兄ちゃん…?」


お兄ちゃんが来た?

まだ2時なのに?



「もういいよ、はいべえさん…いなくなった。

…出ておいで。」

「…ほんと?


…ねぇ、はいべえさんじゃないよね?」

「当たり前だろ…馬鹿だな……」



『馬鹿』…?

私は『馬鹿』に違和感を感じた。


お兄ちゃんはいつも『アホ』というのに
このお兄ちゃんは『馬鹿』といった。


それに…


もう一つの違和感は
『関西弁』ではなかったことだ。


『標準語』のお兄ちゃんを見たことがない。





ってことは…これは……お兄ちゃんじゃない……





開けたくなるのをぐっと堪えて

体育座りをした。




「錦子…?なぁ、錦子?」

ダメ、お兄ちゃんじゃない。


「なぁ、錦子!」

あけちゃダメ…


「開けてよ、ねぇ、開けてってば」

お兄ちゃんなんかじゃない…


「あけろよ…!!!」

惑わされるな…。




ずっと私の中での葛藤は続いた。


お兄ちゃんの真似をしたはいべえさんは
それからずっとノックをしてきて

私を惑わそうとした。




気づけば

鳩時計は5回なり



私はクタクタになっていた。



恐怖で涙が出てきたが
もうはいべえさんの声は聞こえない。






…あと1時間……。


あと1時間の辛抱だ、、、。

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ハル(プロフ) - みつばさん» 最後まで読んでいただきありがとうございました! お兄ちゃんたちが助け出すお話…できたら頑張ってみます! 書けなかったらすいませんっ…^^; 面白いと言っていただけて嬉しい限りです!ありがとうございます! (2017年12月28日 14時) (レス) id: a1d9ec8253 (このIDを非表示/違反報告)
みつば(プロフ) - とても面白かったです!はいべえさん続き見てみたいなって思っちゃいました(´._.`)お兄さん方の妹さんを取り戻すようなお話しが見てみたいなぁなんて汗とにかくとても面白かったです!! (2017年12月26日 0時) (レス) id: 61c4e22e0d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ハル | 作成日時:2017年12月8日 17時

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