【文スト】CV宮野真○になった少女２

５７話 ページ26

_____A




心臓が痛い。悲しい。泣きそうだ。



我慢しないと。泣いたら駄目なんだ。



・・・・・私は、"この世界"に心を動かしたら駄目なんだ。




『・・・・・馬鹿』




こんな弱々しい一言じゃ駄目、もっといつもみたいな軽口じゃないと。



じゃないと、気づかれる。




『・・・・・中也・・・・・』




息が苦しい、どうして。



笑え。笑え笑え笑え！！絶対に気づかれるな、悟られるな！！




中也「・・・・・A？」




ほら、名前を呼ぶとき声が震えたから怪訝そうな顔をしてるじゃないか。



今、顔を見られたら・・・・・！！




『バーカ』



中也「いっ・・・！？」



『何、デコピンだけど？』



中也「本気だったよな！？・・・・・可愛い悪戯しやがって」



『うわ、変態。んで、もういいよね？私、帰るから』




元の服が入っている紙袋を手に持ち、お金をテーブルの上に置いて店を出る。



中也が手を伸ばしていたけど、私はそれに気づかないフリをした。




『じゃあね、中也』




カラン、と鈴の音を鳴らしながら扉は閉まった。



あー、良かった。こんな顔を見られないで済む。



私は人目のない路地裏に入り、静かに異能力を使って"家にいない状態"を無効化し、家に瞬間移動した。




『・・・・・こんなの、私には勿体ないよ』




着ていたワンピースから、いつもの服に着替える。



そして、ワンピースをクローゼットの奥に押し込んだ。



もう二度と着ない、そんな意味を込めて。

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