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中島敦:原点 ページ44

敦「何で、君なんだ・・・・・」




全ての始まりであり、終わりである。



この敵を倒せば、世界は平和に戻り異能力者も全員生き返る。



たった一人残ってしまった敦は、元の生活を取り戻すために今、最後の敵を倒そうとしていた。




『逆に、何でアタシじゃないと思ってたの?』




最後の敵_________それは、探偵社でも最も親しかったAであった。




敦「僕は君と戦いたくない・・・・・お願いだ、皆とこの世界を元に戻してほしい」



『それは出来ないなー。敦がアタシを倒さないと、ね』




その言い方は、まるで自分が倒されることを望んでいるみたいじゃないか。と敦は思う。



実際、その通りなのだ。Aは敦に倒されることを望んでいた。



敦だからこそ、倒されてもいいと。




『ねぇ敦、偶然の偶然ってどう思う?』



敦「偶然と、偶然・・・・・?」



『そう。裏の裏、みたいな考えだよ』




Aは懐からコインを一枚取り出すと、指先で弾いて手の甲で受け止めた。



それを、絵柄が見えないように片手で隠しながら敦の前に出す。




『偶然の偶然はね、必然』




片手を外し、手の甲を見せる。そこにコインは無かった。




『どんなものでも、重複すれば反対になる』




手の甲を隠していた片手に、コインは握られていた。




『・・・・・・ちょっと話し込んじゃったね』




コインを捨て、Aは満足気なように両手を広げる。




『敦が残ってたのは誤算だったよ。でも、アタシと戦わないなら、皆死ぬ』




敦は絶望に満ちた表情で困惑している。仕方のないことだ。正常な反応だ。だが、今はそんなもの必要ない。




『さぁ、始めようよ。アタシという"始まり"を終わらせてみなよ』




甲高く響かせたはずなのに、どこか叫び声のようにも聞こえた。



しかし、もう遅い。救う術は失ったのだ。

ドストエフスキー:過度→←江戸川乱歩:希望



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黒月夜*(プロフ) - 七海@月と星−−君と幸福な世界さん» 駄作なわけないじゃないですか!!そしてまさかのBlu-rayの予約・・・!? (2019年3月13日 23時) (レス) id: f34cbf336c (このIDを非表示/違反報告)
黒月夜(プロフ) - コメントありがとうございます!!ゆ、遺言!?死なないでください!!というより、遺言がそれでいいんですか?! (2018年12月13日 22時) (レス) id: f34cbf336c (このIDを非表示/違反報告)
河童系人間。(プロフ) - むり…尊い…すき……(遺言) (2018年12月13日 20時) (レス) id: 66413608c9 (このIDを非表示/違反報告)
黒月夜(プロフ) - ハニーさん» あ、なんかすみません・・・・・( ・−・) (2018年11月22日 23時) (レス) id: f34cbf336c (このIDを非表示/違反報告)
ハニー - 澁澤さんの童話むり…しんどい…(´Д` ) (2018年11月22日 10時) (レス) id: f040ea1a18 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:黒月夜 | 作成日時:2018年5月10日 21時

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