11話 ページ13
内臓が圧迫されているようで、うまく呼吸が出来ていない私に男は近付く。
やばい。死んだかも。
だけど都合よく誰かが助けに来てくれるわけはない。私が、私の力で現状打破しないと。
「ほう、まだ立つか」
ゆっくり立ち上がった私を称賛するかの如く金棒の男は言葉を紡ぐ。
「貴様のような亡者は珍しくない。が、俺の攻撃を避け、田噛の鎖を引きちぎったのは貴様が初めてだ。大人しく裁きを受けるというのならばこれ以上此方も手出しすることはない」
『生憎、私は裁きを受けるにはまだ早いんでね』
そもそもの話、私が死んでいること前提なのが気にくわない。たとえ死んでいたとして、その命令口調に誰が大人しくするものか。
『どうしても私を連れていきたいなら、あの美人さんレベルの女の子持ってきな。それが無理ならアンタらでイチャイチャでもするんだな!!!乳繰りあえ!!』
「女の子が何てこと言ってるの!?」
『黙れ!受けみたいな顔しやがって!!』
うぇっ、大声だしたから酸素足りない・・・・・・口のなかの血の味が気持ち悪・・・・・・。
「貴様!訳の分からんことを!!」
『うっさい!アンタも受けだろ!』
「知るか!」
本当にそろそろやばいかも。クラクラするし、立ったけど動けんし、何か足がモフモフしてるし・・・・・・。
モフモフ?モフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフ・・・・・・・・
『お前かーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!』
急な奇声に周囲は肩を震わせていたが私はそれどころではない。
想像してほしい。単独で敵地に放り込まれた挙げ句満身創痍、絶体絶命のところに昔ながらの相棒との再会。
絶望の海に射し込んだ光、って気分なんだよ。今がそれ。
『綿、どこ行ってたんだよ、暗いから目ぇ見えないわ人体模型に酸かけられるわでボロボロになってたんだよ!?しかもいくら私が生きてる人間ですって言っても信じてくれないしさー!!あ、でも美人さんとの出会いはあった!途中で逃げられたけど!』
Rのあとに18だけでなくGも付きそうな片腕を見せれば、黒い綿は飛び上がって扉まで下がっていった。
おいこら、と言いたくなるが、確かにこんな腕見せて美人さんが安心するわけないな、と自分の無神経さを理解した。
『ごめんって』
金棒の男とかまるっきり無視で黒い綿を気にかけ、扉の方に目を向けた瞬間。
綿は真っ二つになった。
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のりまき - 凄く面白い、、、更新頑張ってください!楽しみにまってます! (2021年11月4日 22時) (レス) @page13 id: 43c85f48e1 (このIDを非表示/違反報告)
ユノ - 続き楽しみにしています (2021年3月26日 19時) (レス) id: ae7d8421ac (このIDを非表示/違反報告)
鈴菜 - ゆ、夢主も腐女子だと((( コホンとても楽しく読ませて頂いています! 続編が楽しみですよ〜… なんか夢主が獄卒たちと親しげ(?)ってとこが良いよね! (2020年8月15日 16時) (レス) id: 887197f4b6 (このIDを非表示/違反報告)
アヤト - 楽しんで読ませてもらってます!更新楽しみに待ってます! (2020年5月19日 8時) (レス) id: 3db13e33df (このIDを非表示/違反報告)
@羅夢(プロフ) - とても面白いです!あ、あれぇ?夢主と服装もカバンの中身もほぼ一緒だ!?更新楽しみにしています!頑張ってください! (2020年4月20日 18時) (レス) id: d2b13b95f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒月夜 | 作成日時:2020年4月1日 20時