story28 ページ29
『やだよ ハヤテとこれからすごしたい』
『一生いっしょにいる』
『わすれるなんかやだよ』
短くて漢字が少ない文章を次々と書いていくA。
書いてちぎって書いてちぎってを繰り返している。
段々と字が弱々しくなって書ききれてない文字も多くなっていた。
目からどんどんと涙が溢れている。
メモも染みの数が増えていく。
「A……。」
そんなAの姿を見て言うのを少し躊躇した。
でもここで言わないとAと一生会えなくなるかもしれない。
俺は必死に書いてるAの手を止めさせて喋りかけた。
「A……手術、受けてくれないか?」
バッと漸くこちらを向いたAの顔は酷く混乱していた。
握っていた俺の手を無理矢理退かすと文字を書いて見せてきた。
『なんで?ぼくのきおく、なくなっちゃう。』
「うん、そうだな。でも手術を受けなかったらもう一生Aと会えなくなるかもしれない。俺はそんなの嫌だよ。例え記憶が無くなってもAが笑ってる姿を見るだけで俺も幸せだから……ね?」
必死に首を振って嫌だと主張するA。
『ぼくは幸せじゃない!はやてと つきあえたのにわすれるとかいやだ!!』
そろそろかなと思い、少し外を見る。
後少しで観覧車の頂上に来る。
この観覧車にはジンクスがあった。
"観覧車の頂上でキスをしたカップルは永遠の愛を誓える"
ベタなジンクスだけど俺の先輩とかそのまた先輩とかは確かに長く付き合ってる人もいて、そのまま結婚したと聞いたこともある。
でも今は確率なんて関係ない。
Aがいきてくれればそれでいい。
そう思いながら俺はAにキスをした。
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作者名:クロスケ | 作成日時:2019年3月25日 1時