春、僕らは恋をする。【オリジナルBL】 (ページ19)

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Aside

昨日は慣れない事をした。

まぁ慣れてたら逆に凄いんだけど。

そういえば今日のトレーニングの後普通に疾風に聞きに行く流れになってるけど……来てるのかな。

来てなかったら、どうしよう。

そもそも疾風って何で病院に居るんだろ。

前にも考えた事があったけど確かその時は怪我のせいだって結論に行き着いたと思う。

でも決めつけは良くないよな。

海先生が来たら聞いてみよう。

『A検査終わったならトレーニング始めるぞ？』

ちょうどいいタイミングで海先生が来た。

でもその前に。

『海先生さっき少しだけ音が聞こえた！』

『凄いな！やっぱり最初から聞こえなかった訳じゃないから治るのも時間の問題かもしれない。』

興奮気味に文字を連ねていく海先生。

『でも、完全には治らないんだよね？』

僕がこんな事書いたから海先生の表情が曇る。

別に海先生は悪くないのにね。

『それでも頑張るよ。』

『そうか、強いなAは。』

自分で言うのもあれだけど、僕は強くなったと思う。

物理的にじゃなくて心の方。

最初は家族に捨てられて笑顔も感情の全てを失った。

でも、海先生と会ってたから僕に色が戻って毎日が生きてて楽しかった。

今も楽しいけどね。

検査入院の時は少し怖かったけどその時は疾風が居てくれた。

……でも疾風は今隣にいない。

早く理由を聞きたい。

「A……？」

つい口走ってしまったのか手を動かすより口を動かしてしまった海先生。

聞こえた。

小さかったけど僕の名前を呼んでいるのが分かった。

嬉しい。