神の目の光

5話 ページ6

弧雲閣、甘雨から離れ、石門あたりを歩いている旅人とパイモン。

普段"非常食"だなんておちゃらけて笑うような2人だが、調査を始める前以上に不穏な空気が漂っていた。

「神の目って、持ってれば幸せなわけじゃないんだな……」

パイモンが静かに口に出す。

確かに、神の目のせいで不自由になった人も居る。例を出すなら刻晴。あとはノエルも、最初はあの神の目は気に入らなかったと言っていた。

だが、ここまで深刻な所有者は初めてだった。


神の目の光が曇る。これが公(おおやけ)になった時、何十人、何百人の人が神に願おうとすることを辞めることだって有り得る。

だからこそ、片足……いや、両足を踏み入れた旅人とパイモンは解決しなければならない。そう決めたのだ。


「もう1回言い直しになるけど、やることはAが言ってた、Aと一緒にバンドしてたメンバーを探すことだな！」

「うん」


言い直し、と言うのは甘雨と話す前にパイモンが口に出していたからだろう。

と、いうかもともとバンドメンバーを探そうとしていたのに、気づいたら神の目の光についての話になっていた。

何故だろうか。疑問に思ったが、旅人はさほど気にする様子はないように、パイモンの言葉に頷いた。


「でも、口止め食らってる人も居るし……誰に聞けばいいんだ？」

「……ねえパイモン。私達、1番情報持ってる人に何も聞いてなくない？」

やらかした、と少し……いや、かなり目線を横に逸らす旅人に、パイモンは未だに誰か気づいていない様子。

いや、たった今気づいたのか、少しづつ顔を蒼白に染めてきている



「「Aに聞いてないｯ」」


Aに聞いたら、旅人とパイモンはなんのために調査していたのか。という疑問が生まれるが、生憎(あいにく)、そのツッコミがどちらかの口から放たれることはなかった。

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