命が四つ ページ5
『おー、赤髪君だ』
「は？……ってメアさんか」
私は軽い足取りで彼の方へ向かった。呑気にイチゴオレを飲んでいる赤髪君は、いかにもサボり慣れているように見える。
「メアさんもサボりなの？」
『そだよー。授業って面倒くさいじゃん』
それとメアでいいよー、と付け足してスマホを構う。余りにも美味しそうにイチゴオレを飲む彼を見ていたら、
「…メアもいる？」
何てハニートラップを仕掛けてきた。私はそれに戸惑わず、お礼を言ってイチゴオレを飲み干す。
「……あれ、もしかして全部飲んだ？」
『うん。美味しかったよ』
そう言うと、赤髪君は苦笑いしてからのパックを受けとった。申し訳ないので、今度奢ったげるよ、と言っておく。
静かになった屋根の上で、私はごろんと横になった。
「メアってさ、なんか不思議ちゃんだよね」
『……なんで？』
私が疑問に思ってそう聞くと、赤髪君は少し笑顔を見せてこう言った。
「触手持って復讐しに来たのかと思ってたけど、案外普通じゃん？」
『んー、そうかな』
……まあ、赤髪君が言うように復讐しに来た訳じゃ無いんだけどね。
『……私が何で触手を持ってるか、聞かないんだ』
「んー別に。そんなに興味ないし」
予想と外れた反応を見せる彼を見て、私は少し目を見開いた。それと同時に授業終了のチャイムが鳴る。
私は彼より先に立ち上がり、手を差し出した。
『行こう。タコ先生に怒られちゃう』
「どのみち怒られるだろ」
カルマは笑ってそう言うと、私の手をとる。
……少しだけ、暖かく感じた。
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作者名：ゴミ箱センター | 作成日時：2018年11月23日 15時
