【文スト】一般人の中原です その二

中原兄生誕祭2019 ページ38

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『早速スーツを使う事になるとは……』





「良かっただろう？ 持って置いて」









Aは着慣れないスーツに身を包み、マフィア主催の兄の誕生会に参加していた。









「中也君、誕生日おめでとう」





「めでたいのう、中也」





「ありがとうございます、首領、姐さん」





『おめでとう、兄さん』





「おう、ありがとうなA」









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思えば、誕生日と云えば、何時も兄弟二人だけで祝っていたのだ。





こうして盛大に誕生会を開催するのは、実は初めて。









『こういう華やかなのも良いね。ねぇ兄さ――』





「おーい、楽しんでっかA〜」





『うわ、既に出来上がっている』









開始して一時間も経って居ないのに、主役である中也の顔は既に赤い。









「飲んでるかぁ？ A〜」





『俺はまだ未成年だよ』









肩を回されて一緒にふらふらと歩いていると、すくすくと笑う声が聞こえた。









「兄弟仲の良い事じゃのう」





『紅葉さん、森医師』





「今回の誕生日会は、中也にとって特別じゃからの」





『特別？』





「この場で、君と一緒にこうして祝える事が、何より嬉しいのだろうね」









これ程はしゃいでいる彼を見るのは初めてだ、と森と紅葉は云った。









『俺も、兄さんがこうして沢山の人に祝って貰えて嬉しいです』









それを聞いてAは、まるで自分の事の様に、嬉しそうに笑った。









2019.04.29



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