【文スト】一般人の中原です

弟のバイト先の話 ページ9

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俺は臨時で助っ人としてバイトをする事が偶にある。





先日、バイト先の先輩の妹の友達のお兄さんが贔屓にしている喫茶店のバイトを紹介された。

今日はその喫茶店のバイトの日だ。





マスターから頼まれた買い物を済ませて、店裏で仕分けをしていると、おばさんに呼ばれた。





「あら、A君お帰り。ちょっと来てくれる？」



『あ、はい。何ですか？』



「今丁度、ウチを贔屓にしているお客さんが来ててね。A君を紹介しようかなって思って」





そう云っておばさんは、俺の腕を引っ張ってカウンターまで連れて行った。





「皆、先日話したバイト君、今日来てるから紹介するわね！」





カウンター席とテーブル席に座っているお客さんに声を掛けるおばさん。

その声を聞いてお客さん達が此方を見た。





瞬間、テーブル席に座っていた二人が勢い良く立ち上がった。





「お、お前はっ！？」





初対面の筈なのに、向こうは何故か俺の事を知っている感じなんだけど。

眼鏡のお客さんと白髪の俺と同い歳位のお客さんが驚いた表情をして此方を凝視している。





すると、カウンター席に座っているお客さんが立ち上がった。





「やぁ！ おばちゃんが云っていたバイト君だね！」





明るく聞いて来るお客さんは、スッと包帯が巻かれた右手を差し出した。





「私は太宰。太宰治だ。このビルの４階で探偵をしている」



『初めまして、中原Aです。偶にここでバイトに来る予定です』





俺は太宰さんと握手をしながら自己紹介をする。



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