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「何やってんだい、アンタ達っ!」





青筋を立てた与謝野と心配になって駆け付けた敦、国木田が目を見張る。

すぐに国木田が津島を掴み太宰から引き離した。





「太宰さん、大丈夫ですか?」



「……」





敦が駆け寄ると、太宰は口の端から出る血を静かに拭っていた。





「僕は治みたいな友人が居ないから分からないけど、友人が失ったばかりの奴に何を云ったって役に立たないんだよ。思考停止した治なんて木偶の坊なんだよっ! 独活の大木なんだよっ! そんなんじゃすぐに捕まってあの時逃げられなかった。最悪治も僕も死んでいたっ!」



「A……」





云った所ですぐに解決策が浮かぶ筈がない。

太宰ならすぐに100通り程策が浮かぶかもしれないが、その時間さえも惜しい。

最悪、首領の追手に見付かり、捕まったらすぐに処刑される。





「僕は呪いの所為でいつ倒れるか分からない。僕を連れて逃げるのもただの足手纏いでしかない。だから僕は本部へ戻った」





首領の足止めになる為に。





「だから何も云わない方が良いと思ったんだ」





津島が勢いのままそう云った後、その場がしんと静まり返った。

太宰と敦はきょとんとした顔をし、与謝野と国木田は呆れか顔をしていた。









「あの、それって――」









沈黙を破り、敦が口を開いた。





「――太宰さんを、守ろうとしたんですか?」





敦の言葉に、津島が一瞬動きを止めた。





「……はぁ?」





顔を歪めて敦を睨んだ。





「治を守る? 何を云っているのか分からないな人虎」



「いやでも、呪いの事を云わなかったのは、太宰さんに心配掛けたくなかったからで」



「それの何処が、治を守ることに繋がるのさ?」



「えぇっと……」





これ以上何と云えば良いのか。

敦が困惑する中、話を聞いていた与謝野と国木田も黙ったまま。

それどころか更に呆れた表情を浮かべた。





「良いんだよ、敦君」





すると、座り込んでいた太宰が立ちあがった。

口元は弧を描いていた。





「Aはたまに莫迦になるから」



「おい莫迦ってなんっ――」





津島が怒鳴る前に、太宰が津島の鳩尾に拳を入れた。

気を失った津島はガクッと項垂れ国木田に支えられた。





「与謝野さん、暫く起きない様に麻酔打っといてください」



「はいよ。全くアンタらの兄弟喧嘩は面倒臭いねぇ」



「すみません」





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ルビー - 4ネタも見てみたいと思いました。すごく素敵なお話でした。 (2021年9月22日 7時) (レス) @page21 id: dc0e15f974 (このIDを非表示/違反報告)
ネコぱふぇ(プロフ) - 暁郗さん» ご指摘ありがとうございます。別の兄妹の変換ミスです。弟です弟。 (2021年1月24日 17時) (レス) id: 3da7122dd2 (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - 兄妹?え、兄妹??妹…だったの!? (2021年1月24日 17時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
ネコぱふぇ(プロフ) - ノルさん» コメントありがとうございます。喜んで頂けて良かったです。 (2021年1月11日 22時) (レス) id: 3da7122dd2 (このIDを非表示/違反報告)
ノル - 展開が面白すぎて一気に読み進めれました…! 更新楽しみに待ってます!ご無理のない程度に頑張って下さい(*´ω`*) (2021年1月11日 20時) (レス) id: 2991e696be (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ネコぱふぇ | 作成日時:2020年12月29日 21時

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