【迷走】今はまだ ページ7
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目が覚めて、最初に飛び込んで来た文字を呟いた。
『…… 完 全 自 殺 ？』
「おや？ 目が覚めたかい？」
『……』
赤い表紙の本が閉じられ、嫌に整った顔が自分を見下ろした。
何故、この人に膝枕されているんだ。
ガバッと勢い良く起き上がってベンチの端へ逃げる。
「うん、元気そうで何より」
『は、何で……』
「それより、私の外套返して貰えるかい？」
太宰さんは此方に指をさした。
今抱き締めているのは、眠っていた自分に掛けられていた砂色の外套。
この人が何時も着ているものだ。
「まぁそんなに気に入ったのならまだ抱き締めてても良――ぶっ！」
勢い良く外套を太宰さんに投げ付けた。
ふと、周りを見渡すとさっきより日が傾いて……。
『い、今何時っ！？』
「5時半」
公園の時計を指さして太宰さんが云った。
まずい。
母さんに連絡してない。
連絡しようと慌てて鞄の中を捜すが、携帯電話が見当たらない。
「お母さんにはちゃんと連絡して置いたから安心し給え」
そう云う太宰さんの手には携帯電話。
電話を奪って送信履歴を見れば、
「友達と図書館で勉強してから帰るから、少し遅れるよ」と書かれていた。
『何勝手に……と云うか、ロックは？』
「暗証番号は誕生日にしない方が良いよ？」
危ない人だ、この人。
急いで鞄を抱えて逃げる様に離れようとした。
「サヤちゃん」
後ろから太宰さんが名前を呼んで止める。
彼はベンチから立ち上がって外套を羽織る。
「一人で抱え込むのは良くない。どうしようもなくなったら、何時でも探偵社を頼るんだ」
『……何で、そんなに構うの？』
「仲間だから」
その言葉に、思わず振り返る。
「――なんて。私が云っても信じられないかもしれないけどね」
『詐欺師っぽい』
「わぁ辛辣」
『でも…………今はまだ』
視線を逸らして呟き、家に向かった。
.
サヤがその場から立ち去り、一人残った太宰は空を仰ぐ。
彼女が父親の事故について話をした時、何かを思い出して酷く怯えていた。
朝河サヤ自身の記憶なのだろうが、どうも様子がおかしい。
「――二年前の事故、か」
調べてみる価値はありそうだ。
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ネコぱふぇ(プロフ) - まゆさん» ありがとうございました。新作の方も頑張ります。 (2019年2月3日 1時) (
レス) id: 3da7122dd2 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 完結おめでとうございます^_^すごく、面白かったです^_^動物が出てくる場面、すごく癒されました^_^良い作品ですね！これからも、頑張って下さい^_^応援してます^_^ (2019年2月3日 0時) (レス) id: 833a45e133 (このIDを非表示/違反報告)
ネコぱふぇ(プロフ) - 山吹晋助さん» 喜んで頂けて良かったです。 (2019年1月27日 23時) (レス) id: 3da7122dd2 (このIDを非表示/違反報告)
山吹晋助(プロフ) - ずっと読んでいて楽しい作品でした！次回の作品も頑張って下さい！ (2019年1月27日 23時) (レス) id: 9dd3548da5 (このIDを非表示/違反報告)
ネコぱふぇ(プロフ) - あーやんの向日葵畑さん» 応援して下さり、ありがとうございました。 (2019年1月27日 12時) (レス) id: 3da7122dd2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ネコぱふぇ
| 作成日時：2019年1月17日 23時
