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どうしてそんなものが見えたのか?
只の想像か?
……いや、違う。
実際に見ていたのだ。
では、何処で?
そこで二人の会話が頭を流れた。
――母さんも一緒に行けたら良かったのにね。
――仕方ないさ。急な仕事が入って抜けられないらしいから。
――残念……それじゃあ一杯お土産買わないとっ!
――そうだな。きっと母さんも喜ぶぞ。
運転する父親の後ろ姿を見ながら二人は会話をした。
だとしたら、あの時、サヤは後部座席に居た。
父親と一緒に旅行に出掛けたのだ。
サヤも、あの車に、乗っていた?
車はトラックに潰された。
でも、中に居たらとてもじゃないが助からない。
それじゃあ、何で――。
そこまで考えて、目の前が真っ暗になった。
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太宰Side
『……まぁ、父さんが交通事故で死んでから、もっと心配性になったかな』
サヤちゃんは小さく呟いた。
その表情はとても淋しさを帯びていた。
恐らく「朝河サヤ」の記憶を思い返しているのだろう。
すると、突然サヤちゃんは頭を抱えてしゃがみ込んだ。
「サヤちゃんっ!?」
私が駆け寄ると、サヤちゃんは額に汗を浮かべ荒く息をしていた。
「サヤちゃん、落ち着いてちゃんと息をするんだ」
声を掛けるも焦点が合わない目をして、震える唇から微かに声が漏れる。
『あの時……車に……乗って……でも……』
「サヤちゃんっ! サヤちゃんっ! ――――Aちゃんっ!!」
彼女の肩を掴んで大きく揺さぶり名前を呼んだ。
すると、サヤちゃんは顔を上げた。
『――何で
まるで迷子になった幼子の様に、涙を流して彼女は云った。
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ネコぱふぇ(プロフ) - まゆさん» ありがとうございました。新作の方も頑張ります。 (2019年2月3日 1時) (レス) id: 3da7122dd2 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 完結おめでとうございます^_^すごく、面白かったです^_^動物が出てくる場面、すごく癒されました^_^良い作品ですね!これからも、頑張って下さい^_^応援してます^_^ (2019年2月3日 0時) (レス) id: 833a45e133 (このIDを非表示/違反報告)
ネコぱふぇ(プロフ) - 山吹晋助さん» 喜んで頂けて良かったです。 (2019年1月27日 23時) (レス) id: 3da7122dd2 (このIDを非表示/違反報告)
山吹晋助(プロフ) - ずっと読んでいて楽しい作品でした!次回の作品も頑張って下さい! (2019年1月27日 23時) (レス) id: 9dd3548da5 (このIDを非表示/違反報告)
ネコぱふぇ(プロフ) - あーやんの向日葵畑さん» 応援して下さり、ありがとうございました。 (2019年1月27日 12時) (レス) id: 3da7122dd2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ネコぱふぇ | 作成日時:2019年1月17日 23時