【矛盾】あの時彼女は ページ5
.
チラリと後ろを見れば、ついて来る包帯男。
『……あの、付いて来ないでよ。通報するよ？』
「少し話がしたいのだよ。向こうの喫茶店でお茶でもしながら――」
『だから寄り道はしないっ！』
「お母さんが心配するからかい？」
その言葉に、ピタリと足を止める。
「お母さんが君に対して相当過保護なのは分かったよ。君が嘘を吐いてまで宥めようとしていたのは、意外だったけどね」
『……あぁでもしないと、今頃弁護士やら警察やらが出て来て、裁判になっててもおかしくなかったから』
「母さんなら遣り兼ねない」と云えば、太宰さんが「わぁ」と笑顔のまま固まった。
「とても大事にされているのだね」
『……まぁ、父さんが交通事故で死んでから、もっと心配性になったかな』
少し顔を俯かせて小さく云った。
二年前、旅行で高速道路を運転中、運送トラックに幅寄せされ車ごと潰された。
トラックの異変に気付いた父親が、咄嗟に急ブレーキを掛けて後ろに下がろうとした。
しかし、間に合わなかった。
次の瞬間、目の前で父親が――。
『っ！？』
その場面が浮かび突然頭に痛みが走った。
頭を押さえて思わずその場にしゃがみ込んだ。
「サヤちゃんっ！？」
太宰さんが慌てて駆け寄った。
何か声を掛けるが、耳鳴りがして聞き取れない。
どうしてあの時の場面が頭に浮かんだのか？
目の前で父親が――――潰されて血だらけになる瞬間を。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 787人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ネコぱふぇ(プロフ) - まゆさん» ありがとうございました。新作の方も頑張ります。 (2019年2月3日 1時) (
レス) id: 3da7122dd2 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 完結おめでとうございます^_^すごく、面白かったです^_^動物が出てくる場面、すごく癒されました^_^良い作品ですね！これからも、頑張って下さい^_^応援してます^_^ (2019年2月3日 0時) (レス) id: 833a45e133 (このIDを非表示/違反報告)
ネコぱふぇ(プロフ) - 山吹晋助さん» 喜んで頂けて良かったです。 (2019年1月27日 23時) (レス) id: 3da7122dd2 (このIDを非表示/違反報告)
山吹晋助(プロフ) - ずっと読んでいて楽しい作品でした！次回の作品も頑張って下さい！ (2019年1月27日 23時) (レス) id: 9dd3548da5 (このIDを非表示/違反報告)
ネコぱふぇ(プロフ) - あーやんの向日葵畑さん» 応援して下さり、ありがとうございました。 (2019年1月27日 12時) (レス) id: 3da7122dd2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ネコぱふぇ
| 作成日時：2019年1月17日 23時
