【文スト】噂の野良猫娘 ８

【荒事】良い案 ページ14

.



学校の帰り、友達と下駄箱まで来た時に携帯電話が震えた。

取り出してみると画面には「太宰治」と書かれていた。





正直、出たくないので「切」釦を押した。





「あれ？ 電話出ないの？」



「お母さんから？」



『いや、何でもない』





鞄に仕舞おうとしたら、再び震えた。

相手は同じ包帯男。

もう一度「切」釦を押したが、またすぐに掛かって来る。





『……はぁ』





溜息を吐いて釦を押して耳に当てる。





＜やっと出てくれたっ！ 酷いよ無視するなんて＞



『……何？』





おどけた口調の太宰に、サヤはイラついて返事をする。





＜君が何時も帰りに通る道の西側にある土手の上。面白い物が見られるよ＞



『は？ 何云って――』



＜それじゃあ、待ってるよっ！＞



『あ、ちょっとっ！ …………切られた』





怒りを覚えながら携帯電話を見下ろして握る。





「サヤ？ 大丈夫？」



「やだ、何か人殺しそうな顔、怖っ」



『……ごめん皆、用事があるから』





そう云って友達と別れて土手へと向かった。



.

　・　→←　・　

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す