・ ページ10
.
声がした方を見て、ウチは思わず固まった。
癖のある髪の毛、長い黒外套、何時も以上に包帯だらけの男――。
「太宰か」
赤毛のお兄さん――――織田作さんが彼の名前を呼んだ。
(うわぁぁぁっ!! 太宰さんっ真っ黒な格好だなぁぁぁっ)←混乱
「……あ、狐の面」
すると、太宰さんはウチを見て指さした。
「何だ、知り合いか?」
「数時間前、私、この子に土手から突き落とされたのだよねぇ」
(……はっ!?)
ちょっと待って。
そんなのウチ知らないぞっ!?
「土手の上から川を眺めていたら、いきなり頭に落ちて来て、そのまま土手を滑って川に落ちたのだよ。川を流れながら土手を見ると、狐の面を付けた赤毛の子供が走り去るのが見えてね」
土手……確かに、最初は土手にいた。
いや待てよ?
そう云えば、「何か」にぶつかった気が……。
「それで今日もずぶ濡れなのか」
「まぁ、入水するつもりだったから良かったのだけど」
「手間が省けて良かったな」
(いや、良くないでしょ)
「不意を突かれて川に落とされたけど、今日も死にそびれた……またしゅっぱいだよ」
残念、と太宰さんは溜息を吐いた。
「それで? この子は誰だい? 織田作の所の子かい?」
「いや、今日初めて会った」
織田作さんがそう云うと、太宰さんは「ふーん」と身を屈めてウチを凝視する。
探る様な左目に、思わず体を強張らせる。
「君、名前は?」
そう尋ねられても云えないので首を横に振る。
「どうやらこの子は喋れない様なんだ」
「そうなの。それにしても、何だい? このお面は――」
そう云いながら、太宰さんは狐のお面を外そうとした。
.
642人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
白織 - あけましておめでとうございます!今年も1日から楽しく読ませてもらいました。本年も無理なく楽しくお話を書いてください! (2019年1月1日 21時) (レス) id: a1083074eb (このIDを非表示/違反報告)
凍り姫 - ネコぱふぇさん» とっても面白いです!更新頑張ってください! (2018年12月23日 16時) (レス) id: 7ecdf95431 (このIDを非表示/違反報告)
山吹晋助(プロフ) - リクエスト消化ありがとうございます!最初からドキドキしながら読んでいって太宰さんや織田作との絡みがあってとても楽しく読んでましたw更新頑張ってください! (2018年11月26日 2時) (レス) id: 9dd3548da5 (このIDを非表示/違反報告)
ミカ - ネコぱふぇさん» 成る程判りました!更新頑張って下さい!! (2018年11月20日 22時) (携帯から) (レス) id: 5b0fbd2365 (このIDを非表示/違反報告)
ネコぱふぇ(プロフ) - ミカさん» コメントありがとうございます。申し訳ないのですが、終わりのセラフはアニメ知識しかなく、私が小説を書く程詳しくありません。なので、出来ません。 (2018年11月20日 22時) (レス) id: 3da7122dd2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ネコぱふぇ | 作成日時:2018年11月11日 22時