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鏡花はAの腕を引っ張って探偵社に戻った。
中に入ると数人の社員が此方を見て、目を見開いた。
国木田は驚きの余り、持っていた書類をバサァッと落としていた。
「「Aッ!?」」
「「Aちゃんっ!?」」
皆が一斉にそう叫んで、此方に駆け寄って来た。
「何処行ってたんだいっ!? 心配したじゃないかっ!」
「探偵社としての自覚が足らんぞ、小娘っ!!」
「でも、ホント良かったっ! 見付かって」
「あれ? でも雰囲気変わってますね?」
「兄様見てくださいっ! Aちゃんがスカートを履いていますっ!」
「本当だ、吃驚」
「いや、驚く所そこじゃないですよ、太宰さん」
Aを取り囲んで口々に云う中、Aは困惑した表情で後ろに下がる。
『い、一体何なんですか……』
「? Aちゃん?」
『だから、その“A”って誰ですかっ! 人違いもいい加減にしてくださいっ!』
少女が云い放った言葉に、社員全員が驚愕した。
「……Aちゃんが、敬語を」
「太宰さん、そこじゃないです」
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とりあえずお互い落ち着いて、Aをソファーに座らせた。
ナオミがお茶を出している間に、敦と鏡花から事情を聴いた。
「記憶が無いのは、俺達だけではないのだな」
「自分の事、全く覚えていなくて、名前を呼んでも分からないみたいです」
視線を応接セットに向ければ、Aは出されたお茶を飲みながら携帯電話を弄り、落ち着きがなさそうに事務所内を見渡していた。
「あの制服……ヨコハマの私立中学校のものだよ」
「学校に通って居るのかっ!?」
信じられない、と云わんばかりの表情をする国木田。
「計算が壊滅的だと云うのに……」
元数学教師である国木田が頭を抱える。
「漢字の読み書きも危ういものね」
またに「太宰」を「太辛」と書かれる太宰が不安そうに云う。
「唯一の取り柄は足が速いくらいか」
もっと良い所がある筈だが、敢えてそこを上げる乱歩。
「……本人が聞いたら怒りますよ?」
「でも、本当に中学生なんですね。一体何が……」
「まぉ、その辺は本人に聞くしかないだろうね」
国木田達は椅子から立ち上がりAに近付いた。
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白織 - あけましておめでとうございます!今年も1日から楽しく読ませてもらいました。本年も無理なく楽しくお話を書いてください! (2019年1月1日 21時) (レス) id: a1083074eb (このIDを非表示/違反報告)
凍り姫 - ネコぱふぇさん» とっても面白いです!更新頑張ってください! (2018年12月23日 16時) (レス) id: 7ecdf95431 (このIDを非表示/違反報告)
山吹晋助(プロフ) - リクエスト消化ありがとうございます!最初からドキドキしながら読んでいって太宰さんや織田作との絡みがあってとても楽しく読んでましたw更新頑張ってください! (2018年11月26日 2時) (レス) id: 9dd3548da5 (このIDを非表示/違反報告)
ミカ - ネコぱふぇさん» 成る程判りました!更新頑張って下さい!! (2018年11月20日 22時) (携帯から) (レス) id: 5b0fbd2365 (このIDを非表示/違反報告)
ネコぱふぇ(プロフ) - ミカさん» コメントありがとうございます。申し訳ないのですが、終わりのセラフはアニメ知識しかなく、私が小説を書く程詳しくありません。なので、出来ません。 (2018年11月20日 22時) (レス) id: 3da7122dd2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ネコぱふぇ | 作成日時:2018年11月11日 22時