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『今? もふもふ帽子のお兄さ、ん……あれ?』
答えながら視線を移動させると、先刻まで隣に居たお兄さんが居なくなっていた。
暗くなって来たから帰ったのかな?
『さっきまでお兄さんと話をしてたけど、帰ったみたい』
<……はぁ>
『ん? 何で溜息?』
<何でもない。良いからさっさと帰って来な>
それだけ云うと、乱歩さんが一方的に電話を切った。
『え、結局何だったの?』
訳が分からず、ウチは携帯電話を仕舞って探偵社へ帰った。
自分がどれほど恐ろしい相手と話をしていたかなど、知る由もない。
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電話に出てしまった少女を置いて、一人路地裏を歩く男――ドストエフスキー。
先程から懐で震える自分の携帯電話を取り出して、漸く応答の釦を押した。
「何ですか?」
<ひっどいよぉっドス君っ! 先刻からずっと呼び出しているのに何で出てくれないのっ!?>
「すみません、気付きませんでした」
<はい嘘っ! 君の事だから気付いていたけど、敢えて出なかっただろうっ!>
「良く分かりましたね」
<えっやったぁっ! 中って……あぁぁぁっやっぱりそうだったんだぁぁぁっ!! ドス君酷いよっ!>
電話の向こうで騒ぐ彼――ゴーゴリを「喧しい」と一蹴した。
<珍しく外に出掛けて行った切り、全然帰って来ないじゃないかっ! 何をしていたんだい?>
「少々、野良猫とお話を」
<野良猫? あ、猫とお話と云えば、“戸川A”って子、引き込む話はどうするの?>
「あぁ、そうしようとしましたが……気が変わりました。飼い主が怒ると面倒ですし」
<なぁ〜んだ、残念。情報収集に役立てられそうだったのに。そうすればドス君も徹夜しなくて済むのに>
「貴方が真面目に働いてくれたら、少しは軽減されるのですがね」
<は、働いてるよっ!? 僕だってっ! 今だってこうしてドス君の帰りを待って夕飯作っ――>
まだ話の途中ではあるが、ボタンを押して通話を終了させた。
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夜叉夜叉さん、名無しさん からのリクエスト
「ドストエフスキーからの勧誘話」
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白織 - あけましておめでとうございます!今年も1日から楽しく読ませてもらいました。本年も無理なく楽しくお話を書いてください! (2019年1月1日 21時) (レス) id: a1083074eb (このIDを非表示/違反報告)
凍り姫 - ネコぱふぇさん» とっても面白いです!更新頑張ってください! (2018年12月23日 16時) (レス) id: 7ecdf95431 (このIDを非表示/違反報告)
山吹晋助(プロフ) - リクエスト消化ありがとうございます!最初からドキドキしながら読んでいって太宰さんや織田作との絡みがあってとても楽しく読んでましたw更新頑張ってください! (2018年11月26日 2時) (レス) id: 9dd3548da5 (このIDを非表示/違反報告)
ミカ - ネコぱふぇさん» 成る程判りました!更新頑張って下さい!! (2018年11月20日 22時) (携帯から) (レス) id: 5b0fbd2365 (このIDを非表示/違反報告)
ネコぱふぇ(プロフ) - ミカさん» コメントありがとうございます。申し訳ないのですが、終わりのセラフはアニメ知識しかなく、私が小説を書く程詳しくありません。なので、出来ません。 (2018年11月20日 22時) (レス) id: 3da7122dd2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ネコぱふぇ | 作成日時:2018年11月11日 22時