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「さて、次は国木田君だね。はい、これ」





外套のポケットから手を出して、お手玉くらいのボールを国木田さんに渡した。





「これをどうするんだ?」



「思いっ切り遠くへ投げてあげて」





国木田さんの上に居るハルタは、ぶんぶんと尻尾を振って待っていた。

首を傾げる国木田さんは、大きく振りかぶってボールを投げた。





《わぁ〜いっ!!》





すると、ハルタは国木田さんの頭からぴょんと飛び降りてボールを追い駆けて行った。





「? 何だか頭が軽くなった気が……」





首に手を添えながら国木田さんが呟く。

ハルタはボールを咥えると、国木田さんの足元まで戻って来た。





「な、何故ボールが浮いて、戻って……」



『ほら国木田さん、ボール受け取って』




驚きつつもボールに手を伸ばす。

ボールを受け取って貰えて、ハルタは嬉しそうにはしゃいでいた。

すると、ハルタの体が淡く光り、ふわりと消えた。





「……成仏したようだね」



『凄く喜んでた』





かくして、国木田さんに憑いていたチワワの霊は成仏し、幕を閉じたのだった。









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――数日後。





「いやぁ〜良い川だった」





その声と共に事務所に入って来た太宰さんは、案の定、ずぶ濡れだった。





『また飛び込んだの? ホント飽きな――っ!?』





呆れながら太宰さんに振り返って、固まった。





ずぶ濡れの太宰さんの後ろに、同じくずぶ濡れの女性が立って居た。



白いワンピースに長い黒髪。

病弱な程に青白い手が、しっかりと太宰さんの肩を掴んでいた。





『……おぉっとぉ』





どうやら、川からとんでもないモノが憑いて来てしまったようだ。









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『……まぁ良いや』









――――――――――――――――――――――――――――――

2018年 夏 怪談話を書くがすっかり忘れていたもの。



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【序章】或る日の事→← ・ 



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白織 - あけましておめでとうございます!今年も1日から楽しく読ませてもらいました。本年も無理なく楽しくお話を書いてください! (2019年1月1日 21時) (レス) id: a1083074eb (このIDを非表示/違反報告)
凍り姫 - ネコぱふぇさん» とっても面白いです!更新頑張ってください! (2018年12月23日 16時) (レス) id: 7ecdf95431 (このIDを非表示/違反報告)
山吹晋助(プロフ) - リクエスト消化ありがとうございます!最初からドキドキしながら読んでいって太宰さんや織田作との絡みがあってとても楽しく読んでましたw更新頑張ってください! (2018年11月26日 2時) (レス) id: 9dd3548da5 (このIDを非表示/違反報告)
ミカ - ネコぱふぇさん» 成る程判りました!更新頑張って下さい!! (2018年11月20日 22時) (携帯から) (レス) id: 5b0fbd2365 (このIDを非表示/違反報告)
ネコぱふぇ(プロフ) - ミカさん» コメントありがとうございます。申し訳ないのですが、終わりのセラフはアニメ知識しかなく、私が小説を書く程詳しくありません。なので、出来ません。 (2018年11月20日 22時) (レス) id: 3da7122dd2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ネコぱふぇ | 作成日時:2018年11月11日 22時

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