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「何を笑っているっ! 太宰っ!」
「だ、だってぇ〜ふふっ! く、国木田君が、何とも可愛らしいものを乗せているから〜」
「可愛いだと? 何を云っている?」
「え? だって頭に――――ふぐぅっ!!」
云い掛けた太宰さんの横腹に、ウチは思い切りグーパンチを食らわす。
突然の痛さに体を曲げて悶絶する太宰さん。
「な、何するの、Aちゃん……」
『ちょい来て』
事務所に居る人からの視線を無視して、ウチは太宰さんの腕を掴んで廊下へ出た。
「一体どうしたのだい? Aちゃん」
『太宰さん、あのチワワ見えたの?』
ウチの問い掛けに、思い出し笑いをしそうになった太宰さん。
が、すぐに表情を正した。
「……もしかして、あれって見えちゃいけないものだった?」
『あのチワワ、ウチと太宰さん以外誰も見えていないみたい』
「あら〜それはまた……」
事務所のドアを少し開けて中を覗く。
相変わらず国木田さんの頭の上に乗って騒いでいるチワワ。
「朝からあぁなのかい?」
『うん。ずっと頭の上で“遊べ”って云ってる。と云うか、何処で憑いちゃったんだろう? 昨日何処行ったのかな?』
「昨日は確か私と事件現場へ行ったねぇ……そう云えば、被害者の男の人が、国木田君にそっくりだったなぁ」
『近くにチワワ居た?』
「いや、居なかったよ」
なら何でチワワが……更に良く分からなくなった。
すると、仕事をしていた国木田さんが突然立ち上がって出掛ける準備を始めた。
「あれ? 国木田さん、どちらに?」
「12時に市警へ行って話を聞く予定だ」
「え、それって明日の予定では?」
「何? そんな筈、は……」
潤君に指摘されて、国木田さんは手帳を確認する。
すると、頁を捲っていた手が止まった。
「なん、だこれはっ……」
「国木田さん?」
国木田さんは立ち眩みした様に、机に寄り掛かった。
「今日の予定がっ……俺の、理想、が……」
何かぶつぶつ云ったと思えば、そのまま倒れてしまった。
「「国木田さんっ!?」」
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白織 - あけましておめでとうございます!今年も1日から楽しく読ませてもらいました。本年も無理なく楽しくお話を書いてください! (2019年1月1日 21時) (レス) id: a1083074eb (このIDを非表示/違反報告)
凍り姫 - ネコぱふぇさん» とっても面白いです!更新頑張ってください! (2018年12月23日 16時) (レス) id: 7ecdf95431 (このIDを非表示/違反報告)
山吹晋助(プロフ) - リクエスト消化ありがとうございます!最初からドキドキしながら読んでいって太宰さんや織田作との絡みがあってとても楽しく読んでましたw更新頑張ってください! (2018年11月26日 2時) (レス) id: 9dd3548da5 (このIDを非表示/違反報告)
ミカ - ネコぱふぇさん» 成る程判りました!更新頑張って下さい!! (2018年11月20日 22時) (携帯から) (レス) id: 5b0fbd2365 (このIDを非表示/違反報告)
ネコぱふぇ(プロフ) - ミカさん» コメントありがとうございます。申し訳ないのですが、終わりのセラフはアニメ知識しかなく、私が小説を書く程詳しくありません。なので、出来ません。 (2018年11月20日 22時) (レス) id: 3da7122dd2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ネコぱふぇ | 作成日時:2018年11月11日 22時