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国木田Side
今日はやけに首が凝る気がする。
朝も変な時間に起きたし、疲れが溜まっているのだろうか。
『国木田さん、国木田さん』
するとそこへAが声を掛けて来た。
今日一番、挙動がおかしい奴だ。
「何だ、どうした?」
『えっと、大した事じゃないんだけど……』
Aは躊躇いながら、何故か俺の頭上をチラチラ見ながら尋ねて来た。
『国木田さんって……犬飼った事ある?』
「犬?」
唐突に何を聞いて来るのか?
「飼った事はない。そもそも今まででペットを飼った経験がない」
『じゃあ、犬飼いたいとか思った事は? こう白くて小さくて……チワワ、とか』
「お前まさか、捨て犬を拾って来て飼おうなどと考えていないだろうな? 駄目だぞ。ここでは飼えん。勿論、社員寮も動物禁止だ」
『いや、そうじゃないけど……』
うーんと考え込むA。
一体何をしたいのか。
『じゃあさ、最近チワワに親切な事した? 例えばその……お墓作った、とか』
「? 特に何もないが、一体何を聞きたいんだ?」
『あーえっと、何もないなら良いや。それじゃっ!』
そう云って逃げる様に応接セットへ消えてしまった。
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駄目だ。
チワワとの接点が見付からない。
《もう面倒だからメガネに云っちゃえよ》
『“頭にチワワの霊乗ってるよ”って? 云えるか』
陰から国木田さんの様子を窺いながら猫達と話していると、事務所のドアが開いた。
「おっはよう!」
当然の如く遅刻して来た太宰さんが、元気良く挨拶をした。
「何がおはようだ。とっくにそんな時間は過ぎているぞ、太宰っ!」
バンッと机を叩いて立ち上がった国木田さんが太宰さんを睨む。
頭の上のチワワは振り落とされそうになってぶらぶらと揺れていた。
くそ、面白い、笑える。
一瞬吹き出しそうになるのをどうにか堪える。
――が、しかし。
「ぷっはははははっ!」
ウチの代わりに大笑いする者が居た。
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白織 - あけましておめでとうございます!今年も1日から楽しく読ませてもらいました。本年も無理なく楽しくお話を書いてください! (2019年1月1日 21時) (レス) id: a1083074eb (このIDを非表示/違反報告)
凍り姫 - ネコぱふぇさん» とっても面白いです!更新頑張ってください! (2018年12月23日 16時) (レス) id: 7ecdf95431 (このIDを非表示/違反報告)
山吹晋助(プロフ) - リクエスト消化ありがとうございます!最初からドキドキしながら読んでいって太宰さんや織田作との絡みがあってとても楽しく読んでましたw更新頑張ってください! (2018年11月26日 2時) (レス) id: 9dd3548da5 (このIDを非表示/違反報告)
ミカ - ネコぱふぇさん» 成る程判りました!更新頑張って下さい!! (2018年11月20日 22時) (携帯から) (レス) id: 5b0fbd2365 (このIDを非表示/違反報告)
ネコぱふぇ(プロフ) - ミカさん» コメントありがとうございます。申し訳ないのですが、終わりのセラフはアニメ知識しかなく、私が小説を書く程詳しくありません。なので、出来ません。 (2018年11月20日 22時) (レス) id: 3da7122dd2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ネコぱふぇ | 作成日時:2018年11月11日 22時