変態が居た ページ30
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昇降機に乗り、最上階の釦が押された。
帽子さんと二人、静かに上昇する箱の中。
『……帰りたい』
「手前それ何回目だ」
窓から見える景色を眺めながら溜息を吐いて「帰りたい」を連呼するウチ。
最初は無視していた帽子さんも限界だったらしく舌打ちをして此方も睨む。
『だってもう夕方だよ。何かウチ疲れて来ちゃった』
はぁ〜あ、と大袈裟に溜息を吐くと、つられて帽子さんも溜息を吐いた。
目的の階に着いて昇降機から降りて廊下を進む。
途中見張りの人に銃を向けられたけど、
帽子さんを見た途端、銃を降ろし背筋を伸ばして見送られた。
あれ? もしかして帽子さん、偉い人なの?
帽子さんが部屋の前で立ち止まり、ドアをノックした。
「首領、中原です」
声を掛けるが中から返事が聞こえない。
『……首領の人留守みたいだから帰るね』
「帰んな」
方向を変えようとしたけどガシッと掴まれて向き直される。
「首領、入ります」
そう云って帽子さんがドアを開いて中へ入る。
腕を掴まれているから逃げられずウチも部屋の中へ引きずり込まれる。
部屋の中は……流石首領の人の部屋って感じで広い、豪勢。
大きな窓からは綺麗な夕焼けの景色が見える。
そして、何故か床の至る所に女の子の洋服が散らばっている。
「ねぇエリスちゃん、ドレス着てよぉ〜」
「嫌よっ!」
奥の方で、女の子の洋服を持ってエリスちゃんに迫る首領の人。
その首領の人に軽蔑の眼差しを向ける半裸のエリスちゃん。
「折角可愛い洋服を買って来たのだよ。ねぇ〜着てよぉ〜エリスちゃ〜ん」
「可愛い服は好きだけど、リンタロウのその必死なのが嫌っ! キモイ! 着る気持ちになれない!」
「お願いだよ、エリスちゃ〜ん」
部屋のドアの前で、ウチと帽子さんが立ったまま、黙ってそのやり取りを見ていた。
『……帽子さん』
「何も云うな。黙ってろ」
『部屋間違えてるよ。ここには首領の人居ないよ。居るのは変態だけだよ』
「間違ってねぇから黙ってろ」
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はるか(プロフ) - すみません、リクエストお願いします。何でもいいのでネコ科の動物に乗って夢主が、爆走するのを書いてもらえればうれしいです。よろしくお願いします。 (2018年6月20日 0時) (レス) id: 2bc02ca7fa (このIDを非表示/違反報告)
ココ(プロフ) - すみません、少し思いついたのでリクエストさせていただきます!夢主ちゃんと鏡花ちゃんが兎達とふれあってるほのぼのしたお話を書いていただきたいです!よければよろしくお願いします! (2018年6月17日 7時) (レス) id: 8afcf3da14 (このIDを非表示/違反報告)
ネコぱふぇ(プロフ) - RANAさん» 創作出来ました。リクありがとうございます! (2018年6月17日 0時) (レス) id: 1f1c692189 (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - 最新話みました!!めちゃめちゃ面白くて大好きです!!ありがとうございます!これからも頑張ってください! (2018年6月16日 23時) (レス) id: 4350057b28 (このIDを非表示/違反報告)
愛子(プロフ) - 蛞蝓さんで吹き出しました(笑)面白いです。更新頑張って下さい!応援してます。 (2018年5月23日 10時) (レス) id: 1d139961bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ネコぱふぇ | 作成日時:2018年4月22日 23時