全力疾走 ページ3
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只今、公園で日向ぼっこ中。
サボりじゃないよ。
これは日課。
探偵社に遊びに来る動物達――主に野良猫だけど――の相手をするのも、ウチにとって大切な仕事なのだ。
断じて「良い川だっ!」と云って飛び込む木乃伊男とは違う。
違うからね。
ベンチに座って集まって来た野良猫達を撫でて、世間話をしていた。
《ねぇねぇA》
唐突に一匹が肩に乗って耳元で囁いた。
『どうした?』
《あそこ、誰かこっち見てる》
そう云われて、チラッと目線を向けると、確かに公園の入り口に男の人が立って居た。
《何だ? 知り合いか?》
《探偵の人か?》
『いや? 知らない人だよ』
すると、男の人が此方に近付いて来て、「すみません」と声を掛けて来た。
ウチはベンチから立ち上がって男を見る。
「武装探偵社社員のAさんで、間違いありませんか?」
『……誰』
ウチは警戒してじっと男を見る。
周りに居た猫達も警戒して毛を逆立てていた。
「申し遅れました。僕は太宰君の知り合いで、坂――」
この瞬間、ウチの頭の中にあの言葉が蘇った。
――私の知り合いだと名乗る人間には近付かないこと。碌でもない人間しか居ないからねぇ。会ったら全力で逃げて。
男が何か云おうとしている所で、ウチは男に背を向けて走り出した。
「えっちょっと!? 待ちなさいっ!」
『うおわぁぁぁぁっ!! 聞こえないっ聞こえないっ!』
後ろからの男の言葉を聞かず、一度も振り向くことなく、ウチは死に物狂いで探偵社へ走った。
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勢い良く事務所のドアを開けて、バンッと押し付ける様に閉めた。
「何事だっ! って、お前、帰って来るならもっと静かに入って来い」
席に座った国木田さんに注意されたが、そんな事は如何でも良い。
全力疾走した所為でくたくたになり、ドアに寄り掛かって息を整える。
……やばい、口から心臓出そう。
『ぜぇ〜……ぜぇ〜……』
「ど、どうしたのA? 何か遭ったの?」
心配して敦が声を掛けて来てくれた。
『ぜぇ〜……さ、さっき、公園で――』
「おっはよう! 諸君っ!」
説明しようとしたら、後ろのドアが勢い良く開かれ突き飛ばされた。
「あれ? 今何かにぶつかった様な」
「えっとぉ〜……Aです」
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はるか(プロフ) - すみません、リクエストお願いします。何でもいいのでネコ科の動物に乗って夢主が、爆走するのを書いてもらえればうれしいです。よろしくお願いします。 (2018年6月20日 0時) (レス) id: 2bc02ca7fa (このIDを非表示/違反報告)
ココ(プロフ) - すみません、少し思いついたのでリクエストさせていただきます!夢主ちゃんと鏡花ちゃんが兎達とふれあってるほのぼのしたお話を書いていただきたいです!よければよろしくお願いします! (2018年6月17日 7時) (レス) id: 8afcf3da14 (このIDを非表示/違反報告)
ネコぱふぇ(プロフ) - RANAさん» 創作出来ました。リクありがとうございます! (2018年6月17日 0時) (レス) id: 1f1c692189 (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - 最新話みました!!めちゃめちゃ面白くて大好きです!!ありがとうございます!これからも頑張ってください! (2018年6月16日 23時) (レス) id: 4350057b28 (このIDを非表示/違反報告)
愛子(プロフ) - 蛞蝓さんで吹き出しました(笑)面白いです。更新頑張って下さい!応援してます。 (2018年5月23日 10時) (レス) id: 1d139961bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ネコぱふぇ | 作成日時:2018年4月22日 23時