忠告と約束 ページ2
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『……あの人、何』
探偵社に向かって歩きながら、どっと疲れた表情で太宰さんを見上げて尋ねた。
「そう云えば、説明がまだだったね。あの人は森鴎外――ポートマフィアの首領だ」
『え、えぇっ!?』
そんな危ない人を目の前にして、そりゃあ動ける訳無いよ。
ポートマフィアは、このヨコハマを縄張りとするマフィアで、異能力者が集まる大きな組織。
武装探偵社とは以前に何度か衝突していたが、今は停戦協定がなされ、お互いにいざこざを起こさない様にしているらしい。
因みに、以前解決した密売組織の一件の際、敦をぶっ飛ばした帽子の人もマフィアらしい。
「今回は偶々遭遇したかもしれないけど、次見掛けたらすぐ逃げる事」
次なんて永遠に来ない事を願うよ。
「危ないと思ったらすぐ逃げる。特に、私の知り合いだと名乗る人間には近付かないこと。碌でもない人間しか居ないからねぇ。会ったら全力で逃げて」
『簡単に云うよね。出来てたらさっきみたいになってないよ』
「お願いだよ、Aちゃん」
太宰さんは立ち止まってウチを真っ直ぐ見た。
その目が真っ直ぐ過ぎて、一瞬たじろぐ。
「約束、ね」
『う、うん……分かった』
ウチがそう返事をすれば、太宰さんは何時も様にニッコリと笑顔になった。
「さて、帰ろうか」
太宰さんは再び歩き出したので、ウチはその後を追って歩いた。
その背中を見ながら、さっき太宰さんが云った言葉を振り返る。
――私の知り合いだと名乗る人間には近付かないこと。碌でもない人間しか居ないからねぇ。
碌でもない人間しか居ないって……まぁ、太宰さんだからかなぁ。
いやでも、幾ら太宰さんだからって、信頼できる人間が一人位居たって……
……あ、駄目だ。
想像出来ない。
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――探偵社。
「ただい――」
「貴様! 一体何処をほっつき歩いていたっ!!」
事務所の扉を開けて先に太宰が入れば、国木田が即座に立ち上がり、太宰に近付いて行った。
「え、ちょっと国木田く――ごふっ!」
胸倉を掴まれて投げられ、床に叩き付けられる太宰。
その太宰をAが跨いで通って行った。
『あぁ〜ただいまぁ〜』
「お帰り、A……え、大丈夫?」
事務所に入るなり、ソファーに倒れ込むAを心配して敦が声を掛ける。
『もう〜……疲れたぁ〜寝るぅ〜』
「お、お疲れ様?」
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はるか(プロフ) - すみません、リクエストお願いします。何でもいいのでネコ科の動物に乗って夢主が、爆走するのを書いてもらえればうれしいです。よろしくお願いします。 (2018年6月20日 0時) (レス) id: 2bc02ca7fa (このIDを非表示/違反報告)
ココ(プロフ) - すみません、少し思いついたのでリクエストさせていただきます!夢主ちゃんと鏡花ちゃんが兎達とふれあってるほのぼのしたお話を書いていただきたいです!よければよろしくお願いします! (2018年6月17日 7時) (レス) id: 8afcf3da14 (このIDを非表示/違反報告)
ネコぱふぇ(プロフ) - RANAさん» 創作出来ました。リクありがとうございます! (2018年6月17日 0時) (レス) id: 1f1c692189 (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - 最新話みました!!めちゃめちゃ面白くて大好きです!!ありがとうございます!これからも頑張ってください! (2018年6月16日 23時) (レス) id: 4350057b28 (このIDを非表示/違反報告)
愛子(プロフ) - 蛞蝓さんで吹き出しました(笑)面白いです。更新頑張って下さい!応援してます。 (2018年5月23日 10時) (レス) id: 1d139961bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ネコぱふぇ | 作成日時:2018年4月22日 23時