検索窓
今日:6 hit、昨日:6 hit、合計:116,163 hit

勘違い ページ18

.



数日経ったある日の事。



今日は帰りが遅くなると太宰さんから連絡があり、私は早々に自分の夕食を済ませ居間で寛いでいた。

時計を見ればとっくに夜も更けており、そろそろ寝てしまおうと部屋に向かった。



その時、玄関が開く音がした。



『お帰りなさ……い』



玄関を覗く様に顔を出すと、玄関には太宰さん。





その隣には黒髪の女性が立って居た。





「やぁみっちゃん、ただいま〜」



ヒラヒラと手を振って笑う太宰さん。



そんな彼の顔に紙を叩き付けてやった。



「いだぁっ!! 何するの、いきなり」

『仕事は如何した、放浪者』



冷たく言葉を吐き捨て、隣に立つ女性に声を掛けた。



『大丈夫ですか? そこの木乃伊男に何か変な事されませんでしたか? 何なら警察呼びますか?』

「あ、あの! 違うのです」

『?』



大変申し訳ない様子で女性――佐々城信子さんが説明をした。









.









『――そう云う事なら早く云ってくださいよ』

「説明する前にみっちゃんが勘違いしたんじゃないか」

『ついに誑かした女性を家に連れ込む非道を働いたのかと』

「幾ら何でも被害者に手を出す事はしないよ。みっちゃんひっど〜い〜私悲しいよぉ〜シクシク」



太宰さんは不貞腐れて大袈裟に泣き真似をしている。



そんな姿を、申し訳なさ半分、呆れ半分で私は見ていた。



佐々城さんがお風呂に行っている間、簡単な夜食を作りながら私は太宰さんから更に詳しく話を伺った。

依頼の調査で発見された被害者の女性だそうだ。

犯人も捕まっていない中、一人家に帰す訳にもいかず、今夜はうちに泊める事にしたそうだ。



「同性同士の方が佐々城さんも安心するだろうし、今夜はみっちゃんの方で寝てもらうから」

『分かりました。布団の準備をしておきます』



すると、お風呂から出て来た佐々城さんが顔を出した。



「あの、お風呂頂きました」

『はい。あ、簡単ですか夜食を用意しましたので、どうぞ』

「何から何まですみません。えっと……」

『あ、私はAと云います』

「佐々城信子です。Aさんは、太宰様のいもう――」

『違います。只の同居人です』

「回答が早いよ、みっちゃん」

『勘違いされるより先に訂正しなければ』

「切り替えが早いよ、みっちゃん」



.

バイト初日→←太宰初出勤



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (238 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
337人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

セキセイインコ(プロフ) - この異能力めっちゃ強い (2020年12月24日 9時) (レス) id: 9e59c5682d (このIDを非表示/違反報告)
ネコぱふぇ(プロフ) - 藍色眼鏡さん» ありがとうございます。喜んで頂き嬉しいです! (2018年4月30日 16時) (レス) id: 1f1c692189 (このIDを非表示/違反報告)
藍色眼鏡(プロフ) - 完結おめでとうございます。凄く良いお話でした(泣) (2018年4月30日 14時) (レス) id: 07c13963ee (このIDを非表示/違反報告)
ネコぱふぇ(プロフ) - しろねこさん» ありがとうございます。番外編もぼちぼち頑張ります (2018年4月30日 13時) (レス) id: 1f1c692189 (このIDを非表示/違反報告)
ネコぱふぇ(プロフ) - eyeさん» ありがとうございます! (2018年4月30日 13時) (レス) id: 1f1c692189 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ネコぱふぇ | 作成日時:2018年2月12日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。