勘違い ページ18
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数日経ったある日の事。
今日は帰りが遅くなると太宰さんから連絡があり、私は早々に自分の夕食を済ませ居間で寛いでいた。
時計を見ればとっくに夜も更けており、そろそろ寝てしまおうと部屋に向かった。
その時、玄関が開く音がした。
『お帰りなさ……い』
玄関を覗く様に顔を出すと、玄関には太宰さん。
その隣には黒髪の女性が立って居た。
「やぁみっちゃん、ただいま〜」
ヒラヒラと手を振って笑う太宰さん。
そんな彼の顔に紙を叩き付けてやった。
「いだぁっ!! 何するの、いきなり」
『仕事は如何した、放浪者』
冷たく言葉を吐き捨て、隣に立つ女性に声を掛けた。
『大丈夫ですか? そこの木乃伊男に何か変な事されませんでしたか? 何なら警察呼びますか?』
「あ、あの! 違うのです」
『?』
大変申し訳ない様子で女性――佐々城信子さんが説明をした。
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『――そう云う事なら早く云ってくださいよ』
「説明する前にみっちゃんが勘違いしたんじゃないか」
『ついに誑かした女性を家に連れ込む非道を働いたのかと』
「幾ら何でも被害者に手を出す事はしないよ。みっちゃんひっど〜い〜私悲しいよぉ〜シクシク」
太宰さんは不貞腐れて大袈裟に泣き真似をしている。
そんな姿を、申し訳なさ半分、呆れ半分で私は見ていた。
佐々城さんがお風呂に行っている間、簡単な夜食を作りながら私は太宰さんから更に詳しく話を伺った。
依頼の調査で発見された被害者の女性だそうだ。
犯人も捕まっていない中、一人家に帰す訳にもいかず、今夜はうちに泊める事にしたそうだ。
「同性同士の方が佐々城さんも安心するだろうし、今夜はみっちゃんの方で寝てもらうから」
『分かりました。布団の準備をしておきます』
すると、お風呂から出て来た佐々城さんが顔を出した。
「あの、お風呂頂きました」
『はい。あ、簡単ですか夜食を用意しましたので、どうぞ』
「何から何まですみません。えっと……」
『あ、私はAと云います』
「佐々城信子です。Aさんは、太宰様のいもう――」
『違います。只の同居人です』
「回答が早いよ、みっちゃん」
『勘違いされるより先に訂正しなければ』
「切り替えが早いよ、みっちゃん」
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セキセイインコ(プロフ) - この異能力めっちゃ強い (2020年12月24日 9時) (レス) id: 9e59c5682d (このIDを非表示/違反報告)
ネコぱふぇ(プロフ) - 藍色眼鏡さん» ありがとうございます。喜んで頂き嬉しいです! (2018年4月30日 16時) (レス) id: 1f1c692189 (このIDを非表示/違反報告)
藍色眼鏡(プロフ) - 完結おめでとうございます。凄く良いお話でした(泣) (2018年4月30日 14時) (レス) id: 07c13963ee (このIDを非表示/違反報告)
ネコぱふぇ(プロフ) - しろねこさん» ありがとうございます。番外編もぼちぼち頑張ります (2018年4月30日 13時) (レス) id: 1f1c692189 (このIDを非表示/違反報告)
ネコぱふぇ(プロフ) - eyeさん» ありがとうございます! (2018年4月30日 13時) (レス) id: 1f1c692189 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ネコぱふぇ | 作成日時:2018年2月12日 23時