第一印象は大事 ページ14
.
「みっちゃん! 服を買いに行こう!」
『……』
唐突に何を云い出すんだ、この人。
夕食の片付けをしていると、太宰さんは両手を広げてニッコリ笑って云った。
私はそんな表情から顔を反らしてお皿を洗う。
『何故突然に?』
「私は思ったのだよ、みっちゃん。人と云うのは、やはり第一印象が肝心なのだよ」
『常に包帯男な人に云われても、説得力がありませんねぇ……』
「まぁ聞き給え。私達は新たな道へと一歩踏み出そうとしている。だから、心機一転、先ず形から入ろうと思う」
『それを云うなら、先ずその包帯取ったら如何ですか?』
「包帯は体の一部だよ」
知らないよ。
水道を止めて手を拭きながら太宰さんに振り返る。
『まぁ、気持ちは分からなくは無いですが、この時間では何処のお店も閉まってますよ?』
私が云うと、太宰さんは「甘いよ、みっちゃん」と云って人差し指を立てて、ちっちっちっと振った。
妙にその態度が癇に障る。
「通常営業している店ならそうだけれど、私の知っているお店は何時でも開いている」
つまりは裏のお店と云う場所なのだろう。
.
「ここだよ」
結局、太宰さんについて行くと一軒のお店に到着した。
『……予想以上に真面なお店』
「一体何を想像していたのだい?」
私の一言に肩を竦めながらも、店のドアを開いた。
ドアのベルがなり、奥の方から男の人が出て来た。
「……おや? 太宰君。久しいですね」
「久し振り、ヒラメ」
ヒラメと呼ばれた男は、太宰さんと軽く話を交わした。
「また自 殺用に道具を見に来たんですか? 生憎ここはそう云った専門店じゃないですよ?」
「違いますよ。今日は服を見に来ました」
「あれ? 何時も羽織っている外套は?」
「先日、“うっかり”焼いてしまいましてね」
あぁ……
灯油を掛けて徹底的に灰にした、あれですか。
貴方はあれを「うっかり」と云うんですねぇ。
「そちらのお嬢さんは? 妹……じゃないですね」
「訳アリの同居人です」
その紹介、如何にかなりませんかねぇ。
貴方も訳アリでしょうが。
とりあえず、ヒラメさんには名前を名乗って置く。
「まぁ深くは聞きませんよ。お互いの為にもね。さぁどうぞ。好きに見て行って下さい」
そう云われて太宰さんは奥へ進む。
私はその後をついて行った。
.
337人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
セキセイインコ(プロフ) - この異能力めっちゃ強い (2020年12月24日 9時) (レス) id: 9e59c5682d (このIDを非表示/違反報告)
ネコぱふぇ(プロフ) - 藍色眼鏡さん» ありがとうございます。喜んで頂き嬉しいです! (2018年4月30日 16時) (レス) id: 1f1c692189 (このIDを非表示/違反報告)
藍色眼鏡(プロフ) - 完結おめでとうございます。凄く良いお話でした(泣) (2018年4月30日 14時) (レス) id: 07c13963ee (このIDを非表示/違反報告)
ネコぱふぇ(プロフ) - しろねこさん» ありがとうございます。番外編もぼちぼち頑張ります (2018年4月30日 13時) (レス) id: 1f1c692189 (このIDを非表示/違反報告)
ネコぱふぇ(プロフ) - eyeさん» ありがとうございます! (2018年4月30日 13時) (レス) id: 1f1c692189 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ネコぱふぇ | 作成日時:2018年2月12日 23時