捕まった者同士 ページ7
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暫く何も見えないまま車に揺すられた。
腕は後ろに縛られ身動きが取れない。
口もガムテープが貼られて声も出せない。
最悪だ。
何でウチがこんな目に。
こんな事なら塀の上でのんびり日向ぼっこしていれば良かった。
悶々と後悔していると、車が停車し、荒っぽく腕を掴まれ引きずられた。
転ばない様に小走りに歩くと、ガチャリとドアが開いた音がした。
顔に被せられた黒い布が外される。
周りを確認する前に、ドンッと背中を押されて地面に転がった。
いった〜……もっと優しく扱って欲しいよ。
塞がれた口で抗議するも、入って来たドアはバンッ閉められ、ガシャンと冷たい音が響いた。
上体を如何にか起こして、周りを見渡す。
薄暗く、錆びだらけの部屋だった。
コンクリートが剥き出しになっている。
唯一の小さい窓が天井近くにあるだけ。
その時、部屋の端っこで物音が聞こえた。
そっちに視線を向ければ、先客が居た。
金髪のお姉さんが、ウチと同じ状態で座っていた。
お互い目が合いパチクリと瞬きをさせた。
……微妙に気まずいぞ。
貴女も捕まったの?
そりゃあ大変だぁ〜あはは。
なんて、世間話出来る程、気楽じゃないよ。
幸い足は自由なので、お姉さんへ近付いて行く。
逆にお姉さんは足まで縛られて動けない様だ。
少し警戒気味のお姉さんの口のガムテープを後ろ手で如何にか外そうとした。
奮闘した甲斐あって、お姉さんのガムテープを剥がす事に成功した。
その後、ウチはお姉さんの後ろに回ってガムテープを外して貰った。
『あー口の周りがヒリヒリする……』
開口一番そんな事を云えば、お姉さんは怪訝そうな顔になった。
「貴女は、一体何故ここに?」
『人を捜してたらいきなり連れて来られた』
完全に巻き込まれだけど。
探偵ごっこをしてたつもりは無いんだけどな。
『お姉さんは? 何でここに?』
「わ、私は……調査をしていて……その……」
口籠って俯いてしまったお姉さん。
あ、何となく察した。
『見付かって捕まったの?』
「うっ……」
あ、図星だね。
そんな丸まる様に落ち込まなくても良いよ。
ウチと一緒だね。
……なんて、慰めにならないか。
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夜廻(プロフ) - 続編待ってました!無理しないで、頑張って下さい!!!! (2018年3月25日 18時) (レス) id: 44c5ec9c50 (このIDを非表示/違反報告)
ノア@情緒不安定(プロフ) - ちぃちゃんの性格が好き。 (2018年3月17日 16時) (レス) id: b6e0dc5b12 (このIDを非表示/違反報告)
高杉アヤ(プロフ) - 何この作者神かよ女神かよ!!(←羨まし過ぎて逆に尊敬してる奴) (2018年2月19日 21時) (レス) id: bdc5f38589 (このIDを非表示/違反報告)
sakaruma1031(プロフ) - とても、面白いです。続きが気になります! (2018年2月18日 11時) (レス) id: 7de756cf73 (このIDを非表示/違反報告)
ヨッシー(プロフ) - やつがれえええええ!良くやった!ひぐっちゃんおめでとう! (2018年2月7日 19時) (レス) id: 71a49373db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ネコぱふぇ | 作成日時:2018年1月19日 23時